福島第一原発の放射能汚染水をALPS処理した水を処理水と書くか汚染水と書くか。トリチウムは取り除けないのでトリチウム入り処理水なのですが、政府、東電、メディアは処理水といいます。その場合処理水という表現はトリチウムを薄めて安全になった水という意味を含んでいます。これは違います。薄めてもトリチウムの絶対量は同じです。私は処理水と書きますが、処理された後の危険な水という意味です。
それはともかく、処理水の海洋放出開始から1年経ちました。1月の共同通信の記事が8月14日の47NEWSに掲載されました。
1月に発表された有機結合型トリチウムの試験についてです。報道内容を再読してトリチウム水安全神話に私は素朴な疑問が湧いてきました。
以下1月のニュースです。
ヒラメにトリチウム濃縮されず 東電「有機結合型」試験
2024/01/27
東京電力は福島第1原発の処理水に含まれる放射性物質トリチウムが生物の組織と結合してできる「有機結合型トリチウム」が、ヒラメの体内で濃縮されなかったとする試験結果を明らかにした。これまで研究機関から報告されている同様のデータを実際の処理水を使った飼育試験で裏付けた。
トリチウムは三重水素とも呼ばれ、通常は水素と同様に酸素と結びついた水の状態で存在する。生物が取り込むと一部が筋肉のタンパク質などと結合し、より長く体内にとどまるとされる。
東電は処理水を海水で希釈してトリチウム濃度を同社が設定した放出基準を下回る1リットル当たり約1250ベクレルにした水槽で、2022年から飼育試験を実施。通常のトリチウムはヒラメに取り込まれて24時間後には1リットル当たり1100ベクレル前後で濃度が一定となった。
有機結合型は生成に時間がかかるため、さらに試験を続けたところ、約250日後に200ベクレル前後で濃度が一定になった。通常のトリチウムと合わせて換算しても水槽内の濃度以下となり、体内で濃縮されないことを確認したとしている。
以上
文の意味がわかりにくいのですが、250日後にヒラメの体内で有機結合型トリチウム濃度が200ベクレルで一定になったのだとすれば、β線を出しつづけている可能性があるということです。ヒラメは低線量で細胞内被曝をし続けているというわけです。
濃縮されているかどうかは、エサの一部のトリチウム水がどのくらいヒラメの細胞に有機結合型トリチウムとして蓄積されているか調べなければわからないはずです。しかも濃縮を問題にするのであれば、ヒラメに摂食されたエサの食物連鎖の過程の濃縮を検証しなければなりませんが、東電の試験ではそれが不問に付されています。
原発関連の報道はこの手のものが多すぎます。
デブリ取り出し中止の原因や六ケ所村核燃再処理工場建設工事の工期延長の原因についても不確かなまま。工事が引き延ばされています。またか、と思います。惰性的としか言いようがありません。未だに動かせないデブリが在るということは、原発は事故を起こせば手を付けられないことになるということを示しているのです。
政府、東電は溶融した燃料棒や使用済み核燃料棒の処分ができなくて右往左往しているだけです。これからは原発はやめると考えて当然ですが、岸田政権は脱原発政策を原発依存に転換してしまいました。彼らはまともではないです。
危ないとわかっていても危険な道にはまり込みズルズル流される、日本の政治の現状を象徴しています。