[271](投稿)学術会議に「軍事目的の研究は行わない」声明の破棄を強いる政府

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日本学術会議は独立して職務を行う――。そう定める日本学術会議法に反しかねない、少なくともその精神をないがしろにする行いだ。会員の任命拒否問題に続き、菅政権の強権的な体質を示す国会答弁があった。

質問したのは自民党議員だ。17日の参院内閣委員会で、大学などの研究機関は軍事研究に携わるべきではないとの立場をとる同会議を攻撃し、今後の改革論議の中でこの問題を取りあげるよう迫った。
これに井上信治科学技術担当相は「梶田隆章会長と話をしている」「会議自身の検討を待っているが、しっかり意見交換をしながら取り組んでいきたい」と答えた。

3日後の会見で井上氏は「見直しを要請したわけではない」としつつ、「デュアルユースについても冷静に考えなければいけないのではないかという考えを述べた」と明らかにした。この状況下で大臣がそう言えば、見解の変更を迫ったと受け止めるのが当然ではないか。

研究成果が民生と軍事の両面で使われる「デュアルユース」は科学技術の宿命だ。科学者の発明や発見は快適で便利な生活をもたらした半面、毒ガス、生物兵器核兵器などをつくり出した。 国内外を問わず、意に反して動員され戦争に協力させられた研究者も大勢いる。

その反省に立ち、あらかじめ歯止めをかけようと学術会議は1950年と67年に「軍事目的の研究は行わない」と表明。3年前にも「これを継承する」との声明を出した。政府は大学の補助金を削る一方、兵器などの開発につながる研究に多額の資金を支給し、管理する制度を広げていた。危機感をもった同会議が安全保障の重要性も含め、多角的に「冷静に」議論を重ねてまとめたものだった。

声明に研究機関や個人の行動を縛る力はないが、政府・自民党は反発し、虚偽や誇張も交えて学術会議を批判してきた。

任命拒否は人事で学術会議をゆさぶり、政権の考えに沿う組織に変えていこうとする意思の表れと見ることができる。さらに踏みこんで個別の活動にまで介入する構えをのぞかせたのが、今回の大臣答弁だ。

学問研究が政治の統制下におかれ、国を危うくした過去を踏まえて、学問の自由を保障した憲法のもと、先人は特別な機関として日本学術会議を設け、職務の独立の重要性を法律にうたった。歴史に学ばなければ同じ轍(てつ)を踏むことになる。

あす衆参の予算委員会で首相も出席して集中審議がある。コロナ禍で注目度が下がった感のある学術会議問題だが、解明すべきこと、追及しなければならない問題は山積している。
2020年11月24日 朝日新聞デジタル版より引用。

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 自民党議員が国会で「日本学術会議は独立して職務を行う」とうたわれている「日本学術会議法」に反する「軍事技術術研究をすべきだ」という意味の攻撃的質問をした。井上科学技術相は、その点について日本学術会議梶田隆章会長と話し合っていると答えました。しかし、その答えは、「日本学術会議が軍事研究はしない」というのであれば、政府機関から日本学術会議を切り離すことになる、という含みをもたせたものだということが後日わかりました。(詳細は次回の「社説:「学術会議  非政府組織に」」をご覧ください)。
現在の「科学技術」は「カジノ資本主義・投機的資本主義的科学技術」として形成された上部構想であり、「カジノ資本主義あるいは投機的資本主義」に規定されない「純粋科学技術」というものは無いと考えなければなりません。また、逆に、上部構造をなす「カジノ資本主義科学技術」に逆規定されない下部構造としての「カジノ資本主義」は現存しないとお考え下さい。このことについては、これまでも何度か論じられていますので、ご参照ください。
 そのことも考えながら、資本家の代理として、代表して述べている「戦争ができるカジノ資本主義国家」政府の代表が現在は菅を頂点とした「官邸」・「自民党」並びにそれに同調している諸党派です。
 現政権の「戦争ができる国家づくり」を目的としている「科学技術」研究を私はしない!と言うだけではなく、それを押し込む「強権政府」に対して、「日本学術会議」並びに連携されている研究者団体の方たち、苦吟されている多くの労働者の方々や学生諸君、読者の皆様は、ともに一致団結して「軍事研究反対」の声を上げていきませんか!!