[441](投稿)賠償と廃炉、先見えず

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東電、原発賠償額が10兆円超へ
 避難の慰謝料、営業損害で
 
福島第1原発事故を起こした東京電力による賠償支払額の累計(除染費用を含む)が、2021年度にも10兆円を超える見通しになったことが27日、分かった。避難に伴う慰謝料や営業損害などに対する支払額は2月19日現在で9兆7028億円に上り、事故から10年が過ぎても増えるのは確実。巨額賠償は地域への影響や原発のコストの大きさを映し出している。
 一方、避難者らの集団訴訟が相次ぐなど、これまでの支払い対応が被害の実情に見合っていないとの声も多い。東電が「最後の1人まで賠償貫徹」とする公約を果たす時期は見えないままだ。 
2月19日までの支払額は1年前から3千億円以上の増加。東電が12年の第1次再建計画で見積もった2兆5千億円からは4倍近くになった。
 内訳は、主に避難指示区域で暮らしていた個人が住まいを移す精神的苦痛や就労、財産面の損害への賠償が3兆2055億円。自主避難者らへの支払いは3537億円だった。出荷制限や風評被害などで収入が落ちた法人・個人事業主への支払いや、国・自治体が公費で立て替えた汚染土の除染費の穴埋めは計5兆9901億円に達した。他に、事故直後の仮払補償金として支出された分が1535億円ある。除染の約2兆7千億円を除くと、法人を含む被災者賠償は約7兆円。
 東電は国の指針に沿って賠償項目を設け、目安額を示している。これまで避難区域での慰謝料などを段階的に追加したほか、帰還・移住に伴う住居確保、農林漁業者らの風評被害への対応が続いて賠償額が増えた。
 最近は被災者賠償の伸びが鈍る一方、国などによる除染が想定の4兆円規模に迫っており、支払いが増加傾向にある。また避難者訴訟で賠償額の上乗せを命じる判決が出ているほか、汚染水を浄化した処理水を海洋放出すれば風評被害対策の強化も求められそうだ。
 東電は、国が出資する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から無利子で資金交付を受け、賠償に充てている。交付金は東電のほか、電力各社が払う負担金で返済されており、多くは電気料金に転嫁されて国民が負担している。(2021・2・27 北海道新聞デジタル版より引用)

※※※ 骨川筋衛門のコメント
 福島第1原発事故を起こした東京電力による賠償支払額の累計(除染費用を含む)が、2021年度にも10兆円を超える見通しになりました。事故から10年が過ぎても増えるのは確実で、巨額賠償は地域への影響や原発のコストの大きさを反映しています。
 一方で、避難者らの集団訴訟が相次ぐなど、これまでの支払い対応が被害の実情に見合っていないとの声も多く、また東電が「最後の1人まで賠償貫徹」とする公約を果たす時期も見通せない状況です。
 さらに賠償額の見積もりも完全に誤っていて、東電が12年の第1次再建計画で見積もった2兆5千億円からは4倍近くになっています。いかに原発事故の与える多くの影響が、高くつくかが分かります。
 しかし、菅政権は、「脱炭素社会」を旗印に、原発の稼働を入れた上で、炭酸ガスを減らす計算をしていますが、各原発の稼働年数は原発の寿命と言われている40年に近づいています。北海道新聞でも「間近に迫る『廃炉時代』」というタイトルで、老朽化や採算面で廃炉を決める原発が相次ぎ、運転中の原発より解体中の原発の方が多い「廃炉時代」が確実に訪れるとみています。原子炉の制御棒など、廃炉作業で出る高レベル放射性廃棄物の処分地も決まっていません。使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)と同様に、後世の世代に「廃炉」で出るごみも大きな負担を残してしまうと報道でも懸念しています。
 しかも、「国内で初めて1966年に営業運転を始めた日本原子力発電東海原発茨城県)は98年に停止し2001年に廃炉に取り掛かりましたが、20年たってまだ完了していません。09年に廃炉作業を始めた中部電力浜岡原発静岡県)1,2号機の完了予定は36年度。事故を起こさずに運転を終えた原発でも廃炉には長い時間がかかります。これら3基を除いて10年前に54基あった国内の原発のうち、事故を起こした福島第1の1~4号機と5、6号機、福島第2の1~4号機、関西電力美浜(福井県)1、2号機、同大飯(同)1、2号機、日本原電敦賀(同)1号機、九州電力玄海佐賀県)1、2号機、四国電力伊方(愛媛県)1、2号機、東北電力女川(宮城県)1号機、中国電力島根1号機の計21基の廃炉が決まって」います。「今後も老朽化や採算面で廃炉を決める」原発が相次ぎ、稼働している原発より解体中の原発が多くなる時代がすぐそこに来ているのです。しかも、解体作業は難航します。(これらの資料は北海道新聞の「間近に迫る『廃炉時代』」の記事、2021・3・1から引用しています)。
 また、現在、核のごみを引き受けてくれるかもしれない町は、寿都(すっつ)町か神恵内村(かもえないむら)くらいしか手を挙げていません。それも、町民、村民のこれからの反対運動でどうなるか分かりません。原発の課題は山積しているのが現状でもあり、同時に、その未来は真っ暗で全く見通せないのです。

読者の皆様は、菅の「脱炭素社会」計画が、絵に描いた餅のようなものだと思いませんか!?