[481](投稿)原発、変わらぬこわさ

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変わらぬ怖さ
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カリフォルニア州にある原子力発電所を、地元テレビ局の女性キャスターらが取材に訪れる。その時、地震が発生し、原子炉は緊急停止。炉心の冷却水が漏れた。そのうえシステムが誤作動し、水位計は下がらず、事態の把握が遅れる。炉心溶融一歩手前の状況が迫った▼米映画「チャイナ・シンドローム」の冒頭場面だ。米国での公開は1979年3月だった。その直後、ペンシルベニア州スリーマイル島原発で、映画に似た事故が起こる。42年前のきょうのことだ。映画は予言と言われ、注目を集めた▼10年前の東京電力福島第1原発事故の数日後、この原発周辺を取材した。当時駐在していた首都ワシントンから車で2時間ほど。状況が全く分からないまま避難させられ、「今でも恐怖が蘇(よみがえ)る」と話した被災者を思い起こす▼わが国では今も、多くの人たちが地元福島に戻れずにいる。一方で核のごみの最終処分も見通せないまま、政府は原発再稼働へ動きを強める▼東電柏崎刈羽原発ではテロ対策に重大な不備が見つかった。原子力規制委員会による抜き打ち検査の結果だ。放置するつもりだったのか。そんな危うさを感じる▼映画で「大衆は事故の際、危険にさらされたのか」と原子炉管理責任者が問われる場面がある。答えは「原発では起こりうる事故はすべて考慮されている。あれは事故ではない」。今も変わらぬ体質に身が凍る。(2021・3・28北海道新聞デジタル『卓上四季』より)



※※※ 真田幸村のコメント:1979年3月28日、米東部ペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電所の2号機の原発炉心溶融メルトダウン)が発生しました。1974年に営業運転を開始した1号機は2034年までの運転許可を取っていましたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化し、運営する電力大手エクセロンが州政府に、温室効果ガスを排出しない電源としての優遇措置を求めていましたが、実現しませんでした。ブライアン・ハンソン上級副社長は「州が、この安全で信頼できる炭素排出ゼロ電源の運転継続を支援してくれないことを残念に思う」とコメントしています。
 エクセロンが米原子力規制委員会に提出した計画では、1号機は使用済み核燃料を炉心から取り出してから廃炉作業に着手しますが、当面は放射能レベルが下がるのを待つため、冷却塔や建屋の解体が終わるのは79年の予定です。つまり、2019年から60年の長い歳月をかけて解体作業をすることになり、費用は1号機だけで10億ドル(約1千億円)以上かかると見積もっています。

 原発事故でなくても、原発の解体をするには長い期間と多額の費用を要するかが良く分かります。この事故から、福島第一原発事故を費用と解体に要する期間を想像するとどうなることかと思います。

 にもかかわらず、北海道電力では「財務状況が悪化している」ため、休止している泊(とまり)原発の再稼働を規制委員会に申請しています。「炭酸ガスを出さないために原発を役立てたいという名目」で菅政府の「脱炭酸ガス政策」に賛意を表明しましたが、本心=狙いは「原発稼働で儲けたい」ということにつきます。

 スリーマイルの原発1号機は2034年までの運転許可を取っていましたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化し、運営する電力大手エクセロンが州政府に、温室効果ガスを排出しない電源としての優遇措置を求めていましたが、米国のペンシルベニア州許可しませんでした。その後も米国は新しい原発を増設をしていません。この点が、日本の再稼働推奨政策?と全く異なる点です。エネルギー資源の種類と量の豊かさの違いもありますが、福島原発事故の後始末に必要とする費用計算結果を明確に出して、原発再稼働を止めるべきだと考えます。

 安倍元首相は「アンダーコントロール」と言いましたが、全く「アンダーコントロール」とは、程遠い状況だと思います!!



★ 福島原発事故の現実を知るために、下記の書をお勧めいたします。

原発事故は終わっていない 福島原発事故から10年』 小出裕章著 毎日新聞出版

定価:1430円