[704]給付金の罠

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給付金
 自民·公明与党は給付金を決定しました。対象は18歳以下と住民税非課税の貧困世帯。衆院選では野党も競うように対案を打ち出しました。
 その日の生活にも困る人は生活費の保障を受けらればければ死んでしまいます。支援は当然です。そもそもその資金は労働者民衆から集めた税ですからね。
 しかし反対運動は貧困の根をさぐり断つためにたたかうべきです。為政者が民に施すことをもって支配階級の階級的支配を安定させるというのは危機に立つ国家の常です。ローマ帝国の昔から「パンと見せ物」の無料配給は民衆にたいする権力者の懐柔策だったことをわすれるわけにはいきません。(註)
 新型コロナ危機のなかで多くの生命が失われ今なお貧窮化が進行しています。他方ではコロナ下での技術開発や生産過程へのIT新技術形態の導入と労働者への労働強化と労務管理の強化、人員削減によって巨大な利益を上げる資本家の簇生。
 新型コロナ感染症にたいする為政者の対応は労働者の肉体と精神と経済生活を圧迫するものとなりました。この社会の仕組みを社会科学的に解剖することがいま問われています。危機的状況を変えるために反対運動はいまここで試練に立たされています。

註1:ウィキペディアより
 パンとサーカス(羅: panem et circenses)は、詩人ユウェナリス(西暦60年 - 130年)が古代ローマ社会の世相を批判して詩篇中で使用した表現。権力者から無償で与えられる「パン(=食糧)」と「サーカス(=娯楽)」によって、ローマ市民が政治的盲目に置かれていることを指摘した。パンと見世物ともいう[1]。

 愚民政策の例えとしてしばしば用いられる名言であり警句である。

註2
「世界史の窓」より

 ローマ共和政が前3世紀ごろから中産市民が没落して無産市民(プロレタリア)となっても、市民であるので平民会の選挙権はもっていた。彼らは国や有力者に食料と娯楽を要求し、それらを提供してくれる政権や人物を支持した。