[779]与党に塩を送る連合本部

f:id:new-corona-kiki:20220129065625j:plain 
 1月21日、連合本部が次期参院選方針案を決定し傘下組合に明らかにしました。その方針案は支持政党を示さず、政党と政策協定も結ばないこと、共産党と「野党共闘」する候補者を推薦しないというものです。連合が旧民主党系の立憲民主党と国民民主党の支持を掲げないのははじめてです。その意味は連合傘下の組合員に自公与党への投票の道を開くということです。
これは自民党を利する方針素案です。
 
衆院選で全トヨタ労連が先行実施

 先の衆院選で全トヨタ労連が愛知11区で従来支援してきた旧民主党系の組織内候補を立てませんでした。多くの票が自民党に流れたと思われます。
 衆院選後、連合芳野会長に東京新聞がインタビューしました。
ーー衆院愛知11区では、連合傘下のトヨタ労組出身前職が直前に立候補を取りやめ、守ってきた議席自民党に明け渡した。
 それについて連合会長は次のように言いました。
「連合本部としては関与していない。候補者と組合が議論を重ねた上での結論なので尊重したい。連合の他の加盟組合で同様の動きはなく、全体に波及するような動きではないと現時点で判断している」。

 ところが、年頭に「全体に波及するような動き」を連合本部が促したのです。

 連合の素案に「目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しない姿勢を明確にする必要がる。」と書かれています。
目的が大きく異なるというのは、イデイロギーに関わってきます。共産党との選挙共闘についてここまでいうのなら、大きく異なる「目的」の誤りを批判し推薦しない理由を具体的に言うべきでしょう。

共産党との連携」

 ところで自民党茂木幹事長が名護市長選の結果を受けて「共産党との連携への違和感も広がっていたと感じる」と言っています。今や、「共産党との連携」ということばが与野党だけでなく、連合の中でマイナスのキャッチコピーになっています。
 ヒットラーは全権を掌握するためにドイツ共産党による国会焼きうち事件を演出し宣伝しましたが、危機にたつ政権は似たようなネガティブ宣伝をつかいます。今の日本共産党はちっとも危なくない、危なくなさすぎです。労働者階級による政権奪取など主張していません。
 日本共産党は「スターリンの末裔」ではありますが、かつてのように日本革命を一国的に実現するためにスターリン主義で思想的に固く武装した党ではないです。民主勢力で選挙で政権をとりそのさきは政府で考えてちょうだいというスタンス。脱色しています。ただし、党の利害を労働組合の中に直接持ち込むというのは本質的に変わっていないと思います。労働組合は党の利害を労働者に伝える伝導ベルトであるというスターリン主義の理論を否定してはいないと思います。端的に言うと、連合結成に至る1980年代日本労働運動の右翼的再編統一にたいする総評内外の反対闘争からセクト主義的に分裂し、全労連日本共産党の票田としてつくったことは反省してないです。
 ですが共産党の批判は共同闘争のなかであくまでも労働運動を変革していくという立場に立ってやるべきです。
 立憲民主、とくに国民民主党は批判すべき問題はありますが、批判は労働者の立場に立っていうべきです。連合の決定は、労働運動の指導者が経営者側の利益を代表する自民党を支持する選択肢をもよしとすることを意味します。一線を超えたというべきです。

連合新年交歓会、来賓挨拶は岸田首相だけ

 今年の連合の新年会に岸田首相を呼んで発言させ、岸田は与党をよろしくと言いました。しかし立憲民主党も出席していましたが連合は野党に発言をさせませんでした。

 21日の連合本部の素案は連合指導部が野党•立憲民主党と連合にくさびを打ったという意味をもっています。連合が経営側の代弁者自民党支持への道を開いたというのは労働組合の存在意義を否定したということを意味するのです。各産別の下から抗議の声を上げましょう‼️

連合の内部でたたかう組合員より