[891]戦争特需

 
 NATOに加盟する東欧諸国がウクライナ旧ソ連製の戦車などの兵器を支援し、その代わりに米西欧から新型兵器を導入し配備しています。旧ソ連圏の「社会主義国」であった東欧諸国は1995年にNATOに対抗してつくられたソ連中心の軍事同盟・ワルシャワ条約機構に加盟していました。しかしゴルバチョフペレストロイカの推進過程で東欧諸国の「社会主義」政権は崩壊し、1991年にソ連邦が自己崩壊する直前に同機構は解散しました。
 ウクライナ軍は使い方がわかっている旧ソ連製戦車などを要望しているそうです。旧ソ連製の武器は東欧諸国に多く残っていて、これらをウクライナに提供しています。
 いまやウクライナは兵器の一大消費地となっています。使われればそれだけ犠牲者が増えるのです 。
 エストニアの場合
 ウクライナ旧ソ連製の榴弾砲など2億3000万ユーロ(約310億円)以上の軍事支援。エストニア軍幹部は取材にたいして、旧ソ連製の武器は残っていないと説明し、西側の武器にシフトしているといいます。
 ポーランドの場合
 4月下旬モラウィツキ首相は、ウクライナに戦車を送ったことを明らかにしました。200両以上の旧ソ連製戦車T72を供与しました。そしてイギリスがその穴埋めとしてイギリス製「チャレンジャー2」を展開する予定です。また国防費支出をGDP比2%から23年度には3%に引き上げアメリカ製のM1Aエイプラムス戦車250両を47・5億ドル(約6200億円)で購入する予定です。
 スロバキアの場合
 ウクライナ旧ソ連製の地対空ミサイル「s300」を提供し、その代わりにパトリオットの配備を受けました。へゲル首相は旧ソ連製の戦闘機「ミグ29」も提供することも検討されていると言われています。
 
 活況の軍需産業

 アメリカは武器の貸出しを迅速化する「武器貸与法」を復活し、ウクライナ戦争でウクライナと東欧諸国に大量の武器を供給しています。米軍事産業大手のロッキード・マーチンは対戦車砲ジャベリンの生産能力を2倍の400基に増やします。レイセオン・テクノロジーは地対空砲「スティンガー」を増産します。
 南アラバマ州ロッキード工場を視察したバイデンは「(この工場の従業員は)ウクライナを防衛しており、ロシア軍を(世界中の)笑い者にした」と激励したそうです。(日経新聞参照)
 軍需産業の株も上がっています。ロッキードは13日時点で戦争前と比べて13%、イギリス大手BAEシステムズは約23%上がりました。
 
 死の商人が跳梁しています。