[893]国際労働運動、ウクライナ戦争問題で対立


 国際労働組合総連合(ITUC)加盟組合がウクライナ戦争をめぐって意見が対立し分裂する可能性があります。
 ロシアの労組代表がロシア政府のウクライナ進攻を支持したのです。2000万人が所属するロシア独立労働組合連盟(FNPR)は2月25日、「プーチン大統領とロシアの政治・軍事指導部が講じた措置を支持する」という声明を出しまました。そして「ウクライナ指導部と多くの西側諸国による挑発的発言と行動が今日の事態を招いた」と述べました。(5月17日日経新聞参照)
 G7各国の労働組合の代表は12~13日にかけて「L7」という会合をベルリンで開き、「ロシアのウクライナに対する攻撃的な戦争を強く非難する」という声明を採択しました。日本の「連合」の芳野会長も出席し「平和なくして幸福の実現も労働運動もない」と発言したそうです。しかし日本労働運動指導部は反戦闘争を「国際社会」という・戦争に利害関係をもつ各国の国家権力の声に期待するものに歪めていると私は思います。
 
 L7側はロシアのFNPRの声明を問題視し処分に動いています。
 
 今日の国際労働運動は総体として企業の利益を守ることが労働者の利益を守ることになるという企業防衛主義の考えにもとづいています。そして国を守ることが労働者の利益を守ることになる、という祖国防衛主義にもなっているのです。
 しかしこれまで戦争が労働者の生活を守ったことはありませんでした。ウクライナ戦争もそうです。労働運動は戦争をなくすためにその原因をつきとめ、理由を批判し労働者の力で戦争を阻止していくことが使命であるはずです。