[944](寄稿)新型コロナウイルス感染(COVID‐19)が再び増加

ペンギンドクターより
その2

 さて、新型コロナウイルス感染(COVID‐19)が再び増加しています。
 私は7月7日(木)午後、4回目のワクチン接種をしました。4回目は医療従事者の接種はなく、高齢者またはリスクのある人優先のようです。私の接種日は2021年4月16日、5月7日、12月23日、そして2022年7月7日です。市の方からは6月初めに接種券が届いていたので、3回目から6ヶ月後ということになります。すぐに接種してもよかったのですが、勤務先の友愛病院の事務長に聞いたら、対象職員がまとまったらということで、約ひと月遅れとなりました。
 副反応としては大きな変化はなく、翌朝注射局所の痛みと全身倦怠感があって、ちょっと辛かったのですが、普通に生活して、注射後二日の昨日午後には全身倦怠感が消失したので、やはり副反応だったなと確認できました。我々の間では、4回目ワクチンは感染予防の効果は少ないが、重症化の予防はできると言っています。高齢者は接種しておくのがいいと私は考えています。

 現在の第7波はオミクロン株の派生型「BA・5」によるもので、東大チームの研究では「感染力」も「病原性」も増加していると発表がありましたが、WHOでは病原性についての指摘はないようです。
 しかし、全国的に急速に感染の拡大が見られます。特に島根県の感染拡大が著明です。以前、都道府県別の感染者数の変化を示すネット上のアドレスをお知らせしましたが、7月9日現在の1週間の10万人あたりの感染者数のトップから順に転記します。
 ①沖縄県:937.57②島根県628.00③熊本県538.92です。
 以下、佐賀県・東京都・鹿児島県・大阪府・福岡県・大分県長崎県鳥取県愛媛県長崎県の順番です。以上が全国平均の219.26人より多い県です。九州の感染が目立ちます。東京都、大阪府も急増しているので、周辺の府県もいずれ増加しそうです。
 島根県ですが、7月5日の感染者数が755人で、内訳は、
 出雲市:410人、松江市226人、県央:47人、浜田市:35人、雲南市:19人、益田市:12人、隠岐:6人でした。
 皮肉なことに7月7日、8日は松江市において3年ぶりの現地開催の「日本病院学会」が行なわれたので、参加した医師たちが感染して地元に持ち帰る(?)ことがないことを願います。島根県鳥取県の両知事は、共同して第7波の危機感を表明していました。出雲市の多くは事業所のクラスターということでしたが、対応として飲食関連施設に対する自粛をお願いするようでしたが、両知事も「申し訳ない」というニュアンスがありました。

 ロシアによるウクライナ侵攻ですが、中村悦郎教授の「プーチンの6月いっぱいでの変化」の予測は外れたようです。いろいろな情報が乱れ飛びますが、ほとんどは「楽観的観測」と「悲観的観測」を揺れ動いていて、当てになりません。
 私は天気予報においては、ウェザーニュースの一時間毎の予報を手掛かりに「公園散歩」に出かける時間を決めています。風向きや風力、雨量など役に立ちますが、それもせいぜい24時間以内の予報だけです。
 まして、遠く離れた外国のこと、これからどうなるか、どこかの国が数カ国集まってまずは「停戦交渉」を持ちかけるしかないということだと思います。ウクライナの無念は想像できますが、現実的な対応をしないと疲弊するだけでしょう。ゼレンスキー大統領の言った年内に終戦ということは、「冬が来る」前ということなのでしょうか。
 私が読んだロシア・ウクライナ戦争に関する本を列挙しておきます。一部はこれまでに言及しました。それぞれに興味深く拝読しました。
 ●中村悦郎『ロシアを決して信じるな』(新潮新書、2021年2月20日発行)
 ●小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書、2021年5月10日第1刷発行)
 ●グレンコ・アンドリー『NATOの教訓 世界最強の軍事同盟と日本が手を結んだら』(PHP新書、2021年5月27日第1版第1刷)
 ●黒川祐次『物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書、2002年8月25日初版)
 ●廣瀬陽子『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』(講談社現代新書、2021年2月20日第1刷発行)
 以上、いずれもロシアのウクライナ侵攻以前の発行です。私の考えとしては、侵攻以後に急遽書かれた本はバイアスがかかっていて信頼できないと思うので、侵攻以前に書かれた本を中心に読んだわけです。今書店にはロシア・プーチンに関する本が平積みになっていますが、読む気はしません。ただし、
 ●池上彰保阪正康『歴史の予兆を読む』(2022年6月30日第1刷)の序章には「ウクライナの運命」という章があり、これは深刻に受けとめました。その30ページに池上の言葉で
 国際政治学者で慶應義塾大学教授の廣瀬陽子さんはテレビで、「まさか侵攻するとは思いませんでした、私が間違えていました」などとすごく正直におっしゃった。自らの不明を公然と認められる人は信頼できますよね。
という文章があります。
 情報が錯綜する中で、基礎知識として持つべき知識は可及的に信頼できるものを得たいと思っています。上記の本については、いずれ機会があれば言及したいと思っています。
つづく