[946](投稿)怠慢を監視する力の不足


<卓上四季>怠慢を監視する
07/12 05:00
江戸時代の浮世絵に「教訓絵」というジャンルがあった。好色物や風刺に対する幕府の圧力を避け、世に倫理を説く注釈を付けた美人画が出回った▼喜多川歌麿の「教訓親の目鏡(めがね)・ぐうたら兵衛」は朝起きて眠そうに歯を磨く若い女性の図だ。将来への危機感もなく毒にも薬にもならないとそしり、「子をやしないておしえざるは親のあやまりなり」と手厳しい▼その倦怠(けんたい)感は、懸案を先送りする今の政府に重なる。選挙カーの叫び声がやんでわれに返ると、食料やエネルギーの価格高騰は収まる気配がない。岸田文雄首相は「まずは用意した対策を実行する」のだそう▼選挙期間で気になったのは萩生田光一経済産業相の一言だ。石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を事実上接収するロシア政府の方針に、「直ちにLNG(液化天然ガス)輸入ができなくなるわけではない」と説明した▼どこかで聞いた話法である。福島第1原発事故後の放射能漏れで、当時の官房長官が「直ちに健康に影響を及ぼすものではない」を連発した。記者会見で手元の紙を読み上げ、その場をしのごうとする政治家の姿を何度見たか▼元経産官僚の宇佐美典也氏は「どのように問題を問題と思わせないか」というごまかしの発想で国会答弁を作成したとか(「逃げられない世代」新潮新書)。選挙後も国民は、親になったつもりで政官の怠慢を監視せねばなるまい。2022・7・12(北海道新聞デジタルより)


★★★ 投稿
■選挙期間中、萩生田光一経済産業相は、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を事実上接収するロシア政府の方針に、「直ちにLNG(液化天然ガス)輸入ができなくなるわけではない」と説明しました。卓上四季はその説明を、「どこかで聞いた話法である」と言います。「福島第1原発事故後の放射能漏れで、当時の官房長官が『直ちに健康に影響を及ぼすものではない』を連発した。記者会見で手元の紙を読み上げ、その場をしのごうとする政治家の姿を何度見たか」と卓上四季のコラムニストは慨嘆しています。■これも「いつか来た道=いつか聞いた事柄」ということになることが危惧されているわけです。■節電の「お願い」は「要請」ですが、電力関係の専門家は10年前から風力や太陽光発電に取り組んでおけば、こうはならなかったと主張していました。■一方では、政府と各自動車産業は、電気自動車などを普及させようとしているのに、他方では電力不足を起こしているという矛盾が露呈されたと言えます。これで今回の参議院選挙を乗り切れたのは、我々労働者の政府を監視する力不足と怠慢から来ていると思います。このままでは、ますます、労働環境や雇用や賃金等の劣化しか残らないのではないかと危惧します。

このような状況をいかにして変えていくかが私たちの大きな課題だと思います!!