[1122]プーチンが一時停戦を指示

 

 プーチン大統領ロシア正教のクリスマス一時停戦を発表しました。ロイター通信は次のように伝えています。

 

[キーウ/バフムト(ウクライナ) 5日 ロイター]

- ロシアのプーチン大統領は5日、ロシア正教のクリスマスに合わせて現地時間6日正午(日本時間6日午後6時)から36時間、ウクライナでの停戦を命じた。ウクライナ側はロシア軍が撤退するまでは停戦はないとして、否定的な姿勢を示した。

 一方、米国とドイツは共同声明を発表し、ウクライナ歩兵戦闘車を提供すると表明。米は「ブラッドレー」歩兵戦闘車、ドイツが「マルダー」歩兵戦闘車を提供する。フランスも前日に装輪装甲車「AMX─10RC」を供給すると発表していた。  プーチン氏は、自身に近いロシア正教会最高位のキリル総主教の呼びかけを踏まえクリスマス停戦を指示。「正教会信者の多くが戦闘地域に住んでいるため、ウクライナ側には停戦を宣言し、信者にクリスマスイブとクリスマス当日の礼拝参加を可能にするよう求める」と命令で述べた。

 一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は5日のビデオ演説で「ロシアはドンバスにおけるわれわれの兵士の前進を食い止め、武器や戦力をわれわれの拠点に近づけるためにクリスマスを隠れみのとして利用しようとしている」と批判。「ロシア兵が去るか、われわれが彼らを追い出したときに戦争は終わる」と強調した。 米政府も冷ややかな反応を示した。バイデン大統領はプーチン氏が「一息つきたいのだろう」と語った。 米国務省のプライス報道官は記者会見で、プーチン氏の命令への反応を最もよく表す言葉は「冷笑」だと述べた。「われわれは、ロシア軍が戦闘の一時中断を休息や再装備・再編成、そして最終的に再攻撃を行うために利用することを憂慮している」とした。 ウクライナの親ロシア派勢力の間でも停戦を拒否する動きがみられた。東部の親ロシア派「ドネツク民共和国」トップのプシーリン氏は通信アプリのテレグラムに「停戦の話などあり得ない!」と投稿。プーチン氏の命令は攻撃作戦のみが対象だと主張した。

以上ロイター

私の意見∶

 プーチンの停戦命令の背後でトルコの大統領エルドアンの仲裁の動きがあるようです。ウクライナ穀物輸出再開の際にも仲介で動いたエルドアンは、近く議会選挙を控えており外交で成果を示したいのでしょう。私はクルド人を徹底的に弾圧するエルドアンのような権力者の仲裁によってウクライナ戦争は終わらないと思います。ロシアとウクライナ国内の反戦闘争の力がなければ戦争を阻止できないと思います。

 私は日本の労働組合の中でウクライナ戦争反対の闘いを地道につくっていくしかありません。

 プーチンは米欧諸国政府のウクライナにたいする武器援助を非難しつつ、停戦の構えを見せることによってバイデンとゼレンスキーを揺さぶっていると思います。米国下院議長選で多数派の共和党が候補者を一本化できず混乱が続いています。対ウクライナの軍事的経済的支援を縮小せよというアメリカファースト主義の共和党強硬派の動きをプーチンはうかがっているでしょう。

 また、プーチンは「クリスマス停戦」という言葉を使ってロシア民衆のなかにホッとした雰囲気を醸し出したいということもあるのでしょう。

 ゼレンスキー政権の命運はアメリカ支配階級のウクライナ政策にかかっているといっても過言ではありません。バイデンは武器を与え続けゼレンスキーは戦闘をやめないでしょう。プーチンウクライナ東部南部の「独立国」の住民投票を通じて併合した「現状」を維持する形で停戦に持ち込みたいのだと思われます。

 ウクライナでロシア軍にたいするレジスタンスを展開する労働組合の中の社会主義組織は今、反戦の闘いを組合の中で柔軟な形で組織すべきときではないでしょうか。武力闘争形態は限界に直面しています。

 新自由主義者ゼレンスキーはロシアの侵略反対闘争の只中でウクライナの労働者が倒さなければならないと思います。困難な闘いだと思います。

 私も日本の春闘の中でウクライナ反戦闘争を闘います。