[1373]自民ー国民民主、連立のかけ橋

 

 新聞各紙が元国民民主党参院議員矢田氏の首相補佐官就任を一斉に報じました。矢田氏の出身労組である電機連合は14日加盟労組との会合を行い対応を協議しました。

 毎日新聞によれば、ある連合関係者は「3時間しか寝ていない。連合がぶっ壊れる」と漏らしたといいます。確かにこれまで「反自民」の建前でのんびり幹部の役割をこなしてきた既成指導部にとっては由々しき事態が起きたと感じるに十分な出来事です。

 産経新聞は取材記者の署名入りで次のように伝えています。

 

立民「野党分断」 国民「パイプ役に」 矢田氏の首相補佐官起用

2023/9/15 20:54 

 岸田文雄首相が元国民民主党参院議員の矢田稚子氏を首相補佐官に起用した15日、同党の榛葉賀津也幹事長は記者会見で「仲間として大変うれしく思う」と歓迎し、政策実現に向けた政府とのパイプ役を担うことに期待を示した。

 一方、立憲民主党泉健太代表は会見で「連立入りへの布石と思われても仕方はない」と警戒感を表明。ともに矢田氏の元同僚である民進党系2党の反応は分かれた。  榛葉氏は、矢田氏が首相補佐官として賃金・雇用の分野を担当することに触れ「今まで矢田氏がやってきたことだ。期待をしたい。労働界も期待するところ大ではないか」と述べた。党が掲げる政策の推進に向けて「いろいろなパイプを与野党や政府に持っているが、矢田氏もその一つになりうる」とも強調した。 自民、公明両党に国民民主を加える連立政権構想が念頭にあるとの観測に関しては「全く関係ない」と断言し、「政局でとらえるのは矢田氏に申し訳ない」と語った。さらに「われわれは今の立ち位置でしっかり政策実現する」と説明し、連立参加を否定した。

 一方、他の野党の関係者の間では額面通りに受け取る向きは少ない。 泉氏は、子供政策や女性活躍推進に取り組んできた矢田氏を賃金・雇用担当として起用したことに疑問を示し「首相側、自民党側に何らかの意図があることが伝わってくる人事だ」と指摘した。政権側による野党分断の意図の有無について記者に問われると「狙ったのではないか」と応じた。 その上で「国民民主は『働く者の立場で緊張感ある政治状況を作ってほしい』という期待を受けている。自民がこれ以上補完されて強くなっても、緊張感のある政治にはならない」と持論を展開した。

 日本維新の会の藤田文武幹事長も会見で「野党分断の意図もあるのかもしれない」と言及し、「誰が見ても連立を想起させる人事だ」と評した。「われわれとしてはあまり関わらず、勢力を拡大するために訴えをしていくことに尽きる」とも強調した。(松本学、児玉佳子)

 自民党主導で国民民主党幹部に根回しした上での起用だったということのようです。

 芳野連合会長は、考え方は国民民主党に近い人ですがさすがにいい顔はしていません。矢田氏は一市民として受けたというが、「直近まで参院議員電機連合の役員として活動してきた方だ。連合内に疑問や不安を抱いている人がいる。矢田氏には政争の具に使われないように気をつけてもらいたい」と苦言を述べたといいます。

 連合会長はこういう程度のことしか言えないのが現状です。腹の中では賃上げのために自民党内部で働いてほしいと思っているのでしょう。「私は反対だ。」とはっきり言えないのが今日の連合会長です。