[1398]歴史の転回点

 12日の朝日新聞3面「ひと」欄で北野新太記者が将棋の八冠王になった藤井聡太さん(21)を紹介しています。

 その冒頭で次のように書いています。

 「平成で最も大きな出来事は何だと思うか、と改元前に尋ねた。長考に沈んだ後、当時16歳の少年は言った。

『9•11の(米同時多発)テロはすごく大きな出来事だったように感じます。アメリカとソ連イデオロギー対立からの世界の変化の象徴だったのかなあと』」

 これを読んで私も驚きました。16歳のときにこういうことを考えていたのかと。

 藤井さんが16歳のときは2018年。北野記者のインタビューをインターネットで検索して見ました。

 北野記者の質問と藤井さんの答えを「ひと」欄と重複するところはありますがそのまま引用します。

ーー2019年4月末で平成という時代が終わります。平成14年生まれでいらっしゃいますから半分くらいを生きたことになりますが、平成において最も大きな出来事は何だったかと問われたら、何と答えますか?

「(121秒間の長考に沈んだ後に)•••自分の生まれる前の年の2001年に起きた9•11の(米同時多発)テロは、自分では直接は知らなくて映像を見たことがあるくらいなのですけど、今考えてもすごく大きな出来事だったように感じます。国家間の戦争という軸が変化して、それ以前の米国とソ連イデオロギーの対立があったわけですけど、そこからの世界の変化の象徴だったのかなあと思います」

 藤井さんの答えは12日の朝日新聞「ひと」欄の紹介より具体的です。世界の変化を的確にとらえていると思います。

 「9·11」は戦争の形が国家間の正規軍戦からアメリカのような超大国ムスリムのゲリラとの戦争という形に変化した象徴的出来事でした。

 藤井さんは日常の中で社会の出来事について自分で深く考えているんだと思います。

 「9•11」はソ連邦の自己崩壊後、一超帝国として君臨したアメリカの終わりの始まりを画した大事件でした。

 あれから22年後の今、アメリカの力は減衰しウクライナ戦争支援の予算すら決められず、パレスチナの戦争で追い打ちをかけられたような格好で何をなすべきか苦慮しています。

 イスラエル軍は武器兵力でハマス軍を圧倒します。「9·11」以降の「非対称型戦争」の典型であるガザ戦争は米欧帝国主義にバックアップされたイスラエル軍による無差別攻撃へと転化しようとしています。

 イスラエルパレスチナ民衆への兵糧攻めや殺戮攻撃はやめさせなければなりません。