[1474]核融合発電、産官学で開発

 
 福島第一原発トリチウム入り処理水は定期的に海に流されつづけています。トリチウムが惹き起こす晩発性障害の危険性についてはこのブログでも書いてきました。

 26日の日経新聞一面に核融合発電の開発がはじめられるという記事が載りました。

 しかし、すでに2003年にノーベル賞物理学者小柴さんがトリチウムを燃料とする核融合炉は危険であり国際核融合実験装置の誘致に反対するという意見を、当時の小泉首相に訴えています。

 

内閣総理大臣

小泉純一郎殿

 

嘆願書

 

「国際核融合実験装置(ITER)の誘致を見直して下さい。」

 

理由:核融合は遠い将来のエネルギー源としては重要な候補の一つではあります。しかし、ITERで行われるトリチウムを燃料とする核融合炉は安全性と環境汚染性から見て極めて危険なものであります。この結果、たとえ実験が成功しても多量の放射性廃棄物を生み、却ってその公共受容性を否定する結果となる恐れが大きいからです。

・燃料として装置の中に貯えられる約2キログラムのトリチウムはわずか1ミリグラムで致死量とされる猛毒で200万人の殺傷能力があります。これが酸素と結合して重水となって流れ出すと、周囲に極めて危険な状態を生み出します。ちなみにこのトリチウムのもつ放射線量はチェルノブイリ原子炉の事故の時のそれに匹敵するものです。

・反応で発生する中性子核融合炉の10倍以上のエネルギーをもち、炉壁や建造物を大きく放射化し、4万トンあまりの放射性廃棄物を生み出します。実験終了後は、放射化された装置と建物はすぐ廃棄することができないため、数百年に亘り雨ざらしのまま放置されます。この結果、周囲に放射化された地下水が浸透しその面積は放置された年限に比例して大きくなり、極めて大きな環境汚染を引き起こします。

 

以上の理由から我々は良識ある専門知識を持つ物理学者としてITERの誘致には絶対に反対します。

 

平成15年3月10日

 

小柴昌俊(ノーベル物理学者)

長谷川晃(マックスウエル賞受賞者、元米国物理学会 プラズマ部会長)

以上

 にもかかわらず、30年後のいま産官学協同して核融合発電の開発をはじめるというのです。

26日日経新聞を抜粋します。

 次世代エネルギー技術である核融合発電の実用化に向けた産官学の連携組織が2024年3月に発足する。IHIなど核融合炉の建設に関わる企業だけでなく、素材メーカーや商社、スタートアップなど約50の企業・団体が参加。技術開発や販路開拓を進める。新組織には日本で核融合を主導する多くの企業が参加し、開発の動きに弾みがつく。

 核融合は発電時に二酸化炭素を排出せず、少ない燃料で膨大なエネルギーを生み出す。

以上

 

 産官学協同といいますが、労働組合や大学の研究者はトリチウムを燃料とする核融合炉の危険性に関して意見を述べなければなりません。