[1483]日本政府がバングラディシュ選挙の監視団を派遣

 バングラディシュは選挙ができるかどうか瀬戸際に立っています。バングラディシュは人口1億7000万人の国です。その国で野党が選挙をボイコットするというのは余程の事情があると思われます。

朝日新聞を抜粋引用します。

バングラデシュ総選挙7日投票 野党ボイコットで公正さに懸念の声 ヤンゴン

2024/1/5 

 バングラデシュ総選挙(一院制、定数350)が7日にある。2009年から政権の座にあるシェイク・ハシナ首相の強権的政治手法に反発して最大野党が選挙ボイコットを決めたため、与党アワミ連盟(AL)の勝利が確実な情勢だ。選挙の公正さへの懸念も出るなか、日本や欧米に加えて中国も関係強化に動くなど、国際的な重要性が増すバングラデシュの総選挙に注目が集まる。 

「投票所に行かないことが、あなたたちの民主的な権利だ」。最大野党バングラデシュ民族主義党(BNP)のリズビ幹部が12月20日、オンライン会見で有権者に呼びかけた。同党はボイコットを決め、候補者を立てていない。 ALが圧勝した18年の前回総選挙でも、野党やメディアへの弾圧が問題視された。BNPは結果に不正があったと主張。

 今回の選挙を中立的な選挙管理内閣の下で実施すべきだと求めたが、政権側は拒んできた。10月28日には首都ダッカBNP支持者10万人以上が反政府デモを展開し、一部が暴徒化。ロイター通信によると、警察官1人が死亡し、100人以上が負傷した。

 12月19日に子供を含む4人が死亡する列車火災が起きた際には、野党支持者による放火の疑いが指摘され、ハシナ氏が集会で「投票をボイコットしてもいいが、なぜ人を焼き殺すのか」と批判するなど非難の応酬が激化している。 バングラデシュでは1991年以降、ALとBNPの二大政党が政権を担ってきた。09年に2度目の首相に就いたハシナ氏は、経済成長を背景に強力な権力基盤を築く一方、野党指導者や人権活動家らを拘束するなど強権的な手法が批判されてきた。

以上

バングラディシュ選挙管理委員会に日本が監視団を派遣します。

外務省報道発表

バングラデシュ人民共和国総選挙への選挙監視団派遣

令和6年1月4日

 

我が国は、1月7日に予定されているバングラデシュ人民共和国総選挙の公正な実施を支援するため、渡邉正人元駐バングラデシュ人民共和国日本国特命全権大使を団長とする外務本省及び在外職員、外部の専門家から成る選挙監視団を1月5日から9日まで派遣することを決定しました。

 

1.選挙監視団は、派遣期間中、投票・開票状況の監視活動を行うほか、他の選挙監視団等との意見・情報交換を行います。

 

2.今般の選挙監視団の派遣は、バングラデシュ選挙管理委員会が国際選挙監視団の受入れを歓迎していることを受け、我が国としてバングラデシュにおける民主主義の定着に向けた協力を行うものです。

(参考)バングラデシュ総選挙概要

議会は一院制。定数350議席。全国300の小選挙区から各1名が選出され、任期は5年。残り50議席は女性留保議席であり、総選挙の結果後に各党の議席数に応じ各党に比例配分される。

以上外務省

 バングラディシュ選挙管理委員会が国際監視団の受入れを歓迎していること受け、日本も協力するとされています。

 日本が積極的に選挙管理に関与するのには理由があります。バングラディシュは米中対立の接点にあり、米軍事戦略上重要な国です。

 岸田政権は東アジアにおけるアメリカの対中国軍事体制のフォローを強化しています。その一環として政府は昨年4月バングラディシュとの関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げしました。11月には「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の最初の対象国の一つとして海軍に警備艇を供与することを合意しています。

 日本政府はバングラディシュ政府を味方にしておくために現政権のガバナビリティを支えるために積極的に行動しています。

 岸田政権は能登半島地震への対応は緩慢ですが、海外への関与はアグレッシブです。