[1486]核ごみ処分場文献調査ーその2

 能登半島地震の影響は大きいです。いつどこで大地震が起きるか予想するのは困難です。地震が起きれば原発施設が壊れ放射性物質が飛散、電源喪失で燃料棒が溶融、道路が壊れ避難できなくなるといった事態は予測できることです。珠洲原発計画は2014稼働を目指していましたが、反対運動によって2003年に凍結されました。もしも計画が実施されていたら大変なことになるところでした。

 原発の再稼働、新増設はやめるべきです。

 引用するのは北海道新聞の6日の報道です。寿都、神恵内の核ごみ処分場建設計画は中止されなければなりません。

 

核ごみ文献調査、最終段階に

2月にも報告書案 審議終了見通せず

2024年1月6日

  後志管内寿都町神恵内村で続く、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた全国初の文献調査は今年、最終段階に入る。処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は、2月中にも調査報告書のとりまとめに向けた審議に入り、地質の掘削を伴う「概要調査」に移りたい考えだ。

 ただ、これまでの調査の進め方や説明を疑問視する専門家は多く、審議を終える時期は見通せない。

NUMO「概要調査へ準備着々」

住民・専門家「進め方や説明疑問視」

「国内初の調査で手続きの前例がなく、予定通りにはいかない」。

 NUMOの幹部は昨年12月中旬、取材に対し、報告書の審議入りが越年した経緯をそう説明した。

 2020年11月に始まった文献調査は、当初の終了予定だった2年を1年以上過ぎた。早ければ2月にNUMOが作成した報告書の原案を、経済産業省の作業部会などで審議する。

 原案について、NUMOや国が予定を遅らせ、手続きを慎重に進める背景には、2町村以外の調査候補地を増やすため、時間を確保したいとの思いがある。寿都町神恵内村だけで手続きが進めば、他地域に「北海道だけの問題」との受け止めが広がり、第3の候補地が現れなくなるとの懸念があるためだ。

■「苦い経験」

 国やNUMOには、第3の候補地として期待した長崎県対馬市が、昨年9月に住民の合意形成が不十分として、文献調査の受け入れ拒否を表明した「苦い経験」もある。 調査地の拡大に向け、国やNUMOは、同7月から全国行脚を実施し、11月末までに56市町村を訪れた。

 12月の経産省の特定放射性廃棄物小委員会では、全国行脚で訪問した首長から「説明を受けるだけで騒ぎになる」との反応があったと報告があり、専門家の委員からは「文献調査イコール処分場候補地ではないと明確にするべきだ」などと自治体への十分な説明を求める注文が相次いだ。  今後に控える寿都町神恵内村の文献調査報告書の審議では、そうした地元への対応も検証される。2町村に設置された住民との「対話の場」で、委員として説明を受けた一人は「地層の状態などを一方的に説明され、難解で理解できなかった。住民への理解が広がらないまま概要調査に向けて、なし崩し的に進もうとしている」と不安を抱える。

 審議入りする原案について、NUMOは地質に関する論文など862点の資料を収集して作成を進めてきた。途中経過は対話の場で報告し、2町村の概要調査の大まかな候補地を示している。

活断層集中

 NUMOによると、寿都町は、約260万年前から噴火した山がなく、約13万年前からの活動でリスクがある断層もないとし、町内の大部分を概要調査の対象エリアとする。一方、地下約30キロで生じている「低周波地震」の発生要因について、概要調査で詳細を調べる必要があるとした。  神恵内村は南端を対象としている。それ以外のエリアは、200万~250万年前に火山活動があったとされる積丹岳から半径15キロ以内にかかるとし、不適地とした。火山活動の詳細は文献で確認できていないが、国が17年に示した最終処分場の候補地を示す「科学的特性マップ」と同じ南端を候補地として踏襲した。 NUMOの説明を問題視する専門家は少なくない。 

 小野有五・北大名誉教授(自然地理学)は「胆振東部地震震源地付近は、科学的特性マップで地層処分の適地となっていた」と、マップを前提にした調査を疑問視する。さらに寿都町は「活断層が集中する黒松内断層帯の近くに位置する」とし、2町村とも処分場の建設は困難とする。

 道内外の地質学者らでつくる有志グループも昨年10月、「地層処分は日本では適さない」とする声明を出しており、指摘について作業部会で審議される見通しだ。調査への懸念が相次ぐ中、作業部会の委員は「地元が納得するためにも複数回にわたる議論が必要」としており、報告書が完成する時期は定まっていない。(岩木由菜、山田一輝)

■縦覧場所や説明会詳細 課題山積

 核のごみの文献調査報告書は、経済産業省の作業部会で原案が了承された後、上部組織の小委員会でも同様の審議を経て完成する。その後、次の概要調査に進むかどうかの結論が出るまでには、さまざまな懸案が控えている。

 報告書は完成後、住民に公開する「縦覧」を行う。縦覧の実施期間は、国民議論を求める道の要望を受けて経産省令が改正され、「1カ月」から「1カ月以上」に延長された。 縦覧の場所のほか、関係都道府県の住民向けの説明会の詳細は、NUMOと自治体間で調整が必要となる。

 道は説明会について、寿都町神恵内村と全14振興局、希望する道内外の市町村での実施を求めている。 報告書の周知を終えると、NUMOによる概要調査の計画の申請が可能になる。申請を受けた経産相は、特定放射性廃棄物最終処分法に基づき、寿都町長と神恵内村長、道知事に意見を聴き、「十分に尊重」して可否を判断する必要がある。ただ、同法は首長に意向を確認する時期や回答の期限を定めていないため、長期化する可能性がある。

 寿都町は2町村以外の第3の調査地の浮上を条件に、町主催の勉強会を開いて住民投票を行い、概要調査を受け入れるか判断する。片岡春雄町長は「最終判断はあくまで住民投票だ」とする。神恵内村の高橋昌幸村長は、村民の意思確認について「住民投票は一手段」としている。 鈴木直道知事は「現時点で概要調査に反対する」との姿勢を変えておらず、知事判断も焦点となる。(川浪伸介) 

以上

 この報告記事は6日付ですが能登半島地震とその影響にふれてはいません。

 道内外の地質学者らでつくる有志グループが昨年10月、「地層処分は日本では適さない」とする声明を出しており、想定外の断層が動いた1月1日の地震を経験した日本で核ごみの地層処分はやってはダメです。