[1643]経済財政「骨太」の方針 「国民会議」の提唱

 国民会議とは何かと思いました。この時期、上からの「国民◯◯」という呼びかけには要注意です。リスキリングの促進など労働市場改革進めるための国民会議だとのこと。

 仕事の内容に応じて賃金を決める職務給制を広げること(メンバーシップ型からジョブ型へ)、雇用政策を「雇用維持から成長分野への労働移動の円滑化へとシフトする」(終身雇用からの転換)と骨太方針に明記されるというのです。

 労働移動の円滑化とは解雇、配転をスムーズにできるようにするということです。解雇の金銭解決制度が検討されています。リスキリングとは労働者に教育訓練と競争を強いて生産性向上に寄与する労働力づくりをするということです。労働者は精神的にも肉体的にも疲弊します。そんなことを国民運動として展開することに私は反対します。

朝日新聞のウエブニュースです。

政府の「骨太の方針」原案が判明 賃上げとリスキリングを後押し (鬼原民幸) 2024/6/10 17:00

 政府が6月下旬に閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案が判明した。デフレからの完全脱却に向けて「政策を総動員して賃上げを後押しする」と強調。リスキリング(学び直し)の促進など労働市場改革を進めるため、「国民会議」の開催を検討する。

 原案は大手企業を中心に33年ぶりの高水準の賃上げが実現したことに触れ、「デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇の歴史的チャンスを迎えている」との認識を示した。そのうえで「日本経済を成長型の新たなステージへと移行させていくことが、経済財政運営の最重要課題」と位置づけ、「賃上げを起点とした所得と生産性の向上」がカギになると強調した。 物価高を上回る賃上げを定着させるため、国が決める公定価格で運営する医療機関介護施設の賃上げを引き続き支援するほか、政府が昨夏示した「最低賃金の全国平均時給を2030年代半ばまでに1500円とする」目標についても、より早い達成を掲げた。企業の自動化・省力化投資などを支援して労働生産性の向上に取り組む。 政府は、労働者の仕事を成長分野ヘ移すことが賃上げへのカギとみる。

 以上

 これは組合で批判的に議論しなければ大変です。資本家・経営者は生産過程をIT化することによって労働生産性を向上させ、搾取率を高めること、そして労働市場では賃上げして労働者により多くものや情報を買わせて稼ぐこと、労働者は賃上げしてもらうために原資となるカネの根拠を生産性を向上によってつくれというわけです。

 これらを政府が号令するというのは危うい時代に入ってしまったことを意味します。かつて太平洋戦争の戦時下に国家権力が賃金・物価の統制令を出し生産方針も国家が決めていた時代を髣髴とさせます。