[501](投稿)福井県議会、老朽化原発の稼働容認

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国内初、運転開始40年超の原発3基が再稼働へ…福井県議会が同意


 運転開始から40年を超えた関西電力美浜原子力発電所3号機(福井県美浜町)、高浜原子力発電所1、2号機(同県高浜町)について、福井県議会は23日、再稼働を前提とする意見書案を可決し、同意することを決めた。杉本達治知事は県議会の同意を受け、4月中にも同意を表明するとみられ、国内で初めて40年超の原発が再稼働する。 (2021・4・23 読売新聞デジタル Yahooニュース掲載より)

40年超原発「安全性改善」 福井県専門委、知事に報告


 福井県にある運転開始から40年を超えた関西電力原発3基の再稼働を巡り、県原子力安ー全専門委員会の鞍谷文保委員長は22日、県庁で「ハード、ソフト両面から安全性の改善が図られた」とする報告書を杉本達治知事に提出した。
 杉本知事は専門委の見解や、国の原子力政策の位置付けを再稼働同意の判断材料にする考えで、近く最終的に決断するとみられる。
 3基は美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機(高浜町)で、2011年以降停止している。報告書は、事故に備えた電源や冷却機能の確保、事故制圧に向けた初動対応の強化など「原子炉の工学的な安全性を確保するために必要な対策が講じられている」と結論付けた。
 外部有識者でつくる専門委は、40年超原発の安全対策を技術面から検討。今年3月には現地を視察した。(2021・4・22 北海道新聞デジタルより)

※※※ 石川怒座衛門のコメント
 原子力の専門家である小出裕章氏は、原発の耐用年数は40年と書いています。今日本にある原発はすべて米国から輸入した原発です。「日本には東京電力が使っている「沸騰水型」と呼ばれている原子炉と、関西電力が使う「加圧水型」というふたつの原子炉があります。
 沸騰水型は米国のジェネラル・エレクトリック(GE)が開発し、日本では東芝日立製作所が請け負いました。一方の加圧水型はやはり米国のウェスチングハウス社(WH)が開発し、日本では三菱重工が請け負うという形でこれまで進めてきました」と書かれています。そのどれも耐用年数は40年です。家電製品でさえ、耐用年数を超えて使うと「発火」したりして、大火事になることが度々あります。まして、制御が難しい原子炉の耐用年数を超えて使うのは狂気の沙汰です。福島第1原発の二の舞になることは容易に誰もが予想されるでしょう。
 スリーマイル島原発は採算の悪化で、40年を待たずに稼働を停止しました。(注2)廃炉にするにしても60年をかけてやることとなり、その廃炉費用は2019年9月段階で1000億円(当時の金額で)かかるとの試算です。
 日本で、原発の再稼働をするのは、電力会社の経営悪化を少なくするためです。決して電力が不足しているわけではありません。国からの補助金も出るのと、原発稼働で電力料金をもっと稼ごうという腹だからです。
 かつて原発の電力料金は他の火力発電などと比べて「安い」とされてきましたが、それは初めから「嘘」で、他の電力に比較しても電力料金は高いのです。「オール電化の家」のコマーシャルも見かけないようになったのは、オール電化の家の電力料金の割高さが知れ渡ったからです。
 燃料だけで見ても、原発に使うウランの採掘やウランの濃縮などだけでも費用が掛かり、他の燃料に比べるとべらぼうに高いのです。さらに、このウランの濃縮に使う工場建設費用や運転に要する電力費用(これに原発の電力は使われず、火力発電などで、石炭や石油など炭酸ガスが出る発電所が使われ、菅首相がいうように「原発炭酸ガスを排することはない」というのは、真っ赤な嘘です)や、原子炉を運転する際に漏れ出る汚染水を拭き取る化学繊維のモップや化繊の雑巾などは石油製品ですから、これをたくさん作るのにも多くの石油を使い、製品作りに要する工場の機械を稼働させるのには、石油や石炭を使う電力が必要です。
 これらの製品は、外国からの輸入に頼るので、製造原料、製造する機械を作るときも原料は石油であり、作るときに用いる機械を動かすのに必要なのは電力で、安い国の電力はほとんどが石炭や石油です。輸送するときに使うトラックのガソリンや船の燃料は石油製品です。排気ガス二酸化炭素です。炭素を少なくするために原発を使う方針自体が炭素を増やす要因になることを菅首相は知らないのか、知っていても公言しないようにしているのかどちらかです。
 新型コロナワクチンが今年の9月に入ってくる確約がファイザー社とできたかどうかと聞かれて、「ここで答えるのは控えさせて頂きます」と野党議員に答えたことに相通じます。不都合な真実は言わないということです!!原発を使っても二酸化炭素は減らないというのが真実です。むしろ増える可能性が高いと思います。しかも、温暖化が二酸化炭素の増加で決まるという証拠はありません(注1)。かつて「フロン」が悪者にされていましたが、もはやフロンガスのことは表舞台の出てきません。スリーマイル原発の経営者の一人である会社の副社長は、菅首相と同じことを発言していることに着目しておいた方が良いと思います。原子力発電は「炭素排出ゼロ電源」だと思い込んでいるところを!!(注2)世界では、原発の廃止がもはや主流になっています。日本の国家・首相はそのことには目をつぶっているのです!!

注1:小出裕章 著 「原発事故は終わっていない」 毎日新聞出版社 2021・3・5 刊
注2:米スリーマイル島原発が運転終了 60年かけて廃炉

ニューヨーク=香取啓介

2019年9月21日
朝日新聞デジタル
スリーマイル島原発ペンシルベニア州)が20日、営業運転を終了した。同原発は2号機(加圧水型)が40年前に炉心溶融事故を起こした後も、1号機(同)が運転を続けていたが、採算の悪化で閉鎖を余儀なくされた。今後、60年をかけて廃炉にしていく。
1974年に営業運転を開始した1号機は2034年までの運転許可を取っていたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化。運営する電力大手エクセロンが州政府に、温室効果ガスを排出しない電源としての優遇措置を求めていたが、実現しなかった。ブライアン・ハンソン上級副社長は「州が、この安全で信頼できる炭素排出ゼロ電源の運転継続を支援してくれないことを残念に思う」とコメントした。

[500]緊急事態宣言について

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 ブログテーマ「新型コロナ危機のなかで」をはじめて5月で1年になります。アップロードした記事は今回で500となりました。原稿を寄せていただいた皆様、多くの読者の皆様ありがとうございました。
 
 感染症はおさまらず4都府県に緊急事態宣言が出されました。
 テレビのニュース番組で「国民がワクチンを期待するのはわかりますが、ウイルスは生き延びるために変異します。今ひとりひとりが我慢して感染しないことことが必要です」といっていました。これはメディアの平均な意見です。
 緊急事態宣言に伴う諸措置によって飲食店をはじめ中小のサービス業は経営破綻に追いこまれるでしょう。多くの労働者が解雇されるでしょう。こういうときに、メディアが個人の努力を強調するのは本末転倒ではないでしょうか。感染拡大に医療体制が追いつかないということが危機の原因なのです。ともかく患者を受け入れる体制をつくることしかないのです。それはこの一年以上の間に問われつづけてきたことです。
 感染力の強い変異ウイルスが蔓延してきたことは確かでしょう。ウイルスは「自粛」はしません。これからもウイルスは形を変えてヒトに寄生していくことでしょう。新型コロナウイルスに対応するワクチンや治療薬ができてもそれをスルーできるウイルスに変身変態し存続するだろうことは避けられないと認識しなければならないと思います。
 いまの「緊急事態」とは、医療体制の危機です。危機をもたらしたのは個人の感染防止の努力の欠如に一面化することはできないのです。にもかかわらず、為政者はメディアをとおして「無頼」の若者の映像を繰り返し流して国民の「努力の欠如」をキャンペーンしています。しかし「緊急事態」は感染症にたいする政府の医療政策上の無策であり、過去の医療機関の合理化の結果なのです。
 緊急事態宣言とは労働者と中小企業・個人経営者に新型コロナによる社会的経済的危機の犠牲を転嫁するということではないでしょうか。
 一年前には緊急事態宣言に異を唱える声は野党、反対運動の中にありましたが、いまやむしろ政府に宣言を出せと声を上げるに至っています。しかし、緊急事態宣言は政府の失政の乗りきりを意味しているのです。
 東京では「灯火管制」にひとしい声が上から発せられました。社会全体が一方方向をむきはじめています。危ない風調です。同調しないひとは「非国民」にされかねません。

 憲法改悪の動きに警戒を

 この時期にデジタル法案(国民監視の強化)は衆院を通過し、改憲国民投票法の改定案が採決にもちこまれようとしています。
 蔓延防止等重点措置は平時でも政府の罰則つきの強制措置を可能にし、国民を措置に慣らせていくという含みがあるのだと思います。憲法改定案の緊急事態条項の先取りと見なしていいと思います。


これからもよろしくお願いいたします。
編集部

(499)(投稿)「灯火管制」

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msn 「灯火管制なのか」 「今は戦時中?」 小池知事の消灯要請が炎上

 「今は戦時中なの?」

 東京都の小池百合子知事は23日の定例記者会見で、午後8時以降は街灯を除き、店頭などの照明を消すよう要請すると明らかにした。速報ニュースが流れると、ツイッター上では「灯火管制」「空襲警報」などのワードがトレンド入り。新型コロナウイルスの感染対策を徹底させようと打ち出したにもかかわらず、批判的な投稿が多く早くも「炎上」している。【生野由佳/デジタル報道センター】

 トレンド入りした「灯火管制」とは戦時中、夜間空襲に備え、照明の使用を制限したり、照明を黒い布で覆ったりして敵の目標とならないようにした対策を指す戦争用語だ。

 <トレンドにB29とか灯火管制とか治安悪化とか空襲警報とか並んでるんだけど東京だけ時空歪(ゆが)んでる?>

 <21世紀の時代に戦時中の灯火管制が行われるなんて。相互監視の仕組みも導入しそうで怖いです>

 <現代日本で灯火管制が起きるとは。まさに戦争だな。戦い方を間違えているような気がしてならないんだが>

 22日に、東京都は緊急事態宣言の発令に伴い、飲食店の酒類提供を終日禁止する方向性を示した。

 <禁酒法に続いて東京に灯火管制だとっ いよいよ東京は戦時中みたいになってきたな 欲しがりません勝つまではってか?>

 戦時中の状況に照らし合わせる投稿が目立つ。

 国会議員からも批判の声があがった。

 <まるで現代版の灯火管制。休業、時短、酒類提供停止、外出自粛に続き、店の存在を明らかにすること自体を自粛せよとの要請。本気で感染抑止に協力を求めるなら、前回を上回る十分な補償が不可欠だ。なぜ要請ばかり先行させるのか>(山添拓参議院員=共産党

また、夜道を照らす店頭照明が減ることから、治安悪化を懸念する声も上がっている。

 <灯火管制とか犯罪が増えそう>

 <灯火管制敷かれたら冗談抜きで治安悪化すると思うので、今のうちに防犯関連でできることやっといたほうがよさそう>

 その一方で、東京オリンピックの開幕まで100日を切り、聖火リレーは実施されていることに矛盾を指摘する投稿も。

 <灯火管制するならついでに聖火も消したらどうか>

 <東京都はコロナ対策なら、灯火管制する前にオリンピック中止にしろよ>

 次のように、「灯火管制」の弊害を指摘する声もあった。

 <灯火管制下では「灯火」が共同体の団結を乱す目印となります。そういう「共同体の秩序を乱すとされる対象」への自粛警察的な攻撃について、指示段階でフォローしておく必要があります。政治側で要請だけしておいて「放置」はありえません>

( msn ニュース 毎日新聞 2021・4・23 より)

骨川筋衛門のコメント:

 付け加えるまでもありませんね。「灯火管制」は「戦争」を想起させました。まだ詳細は分かりませんが、2つも変異した新しい変異株が現れ、感染力は強まり、かつ免疫反応に抵抗性を持つとも報道されています。
 「新型ウイルスとの戦い」を「昭和の日本の戦争」になぞらえて、灯火管制を打ち出したのでしょうが、「お笑い」になっているようです。

 大阪の大阪府大阪市の病院統合、交通事業などの二重行政を「合理化」し、病院、保健所などとともに職員を減らした結果、病床数が不足し、医師や看護師等の人減らしをした結果、コロナに罹患した方々を受け入れ困難になって、医療の逼迫(ひっぱく)と言われる事態を招きました。これは大阪に限らず、政府自体が現在も推し進めている「病床削減政策」「保健所の人員削減」政策、ワクチンを自国でつくれない結果ともなった「誤った政策」(これには「学術会議を政府の言いなりにさせようとしている政策」も含まれます)に拠(よ)るのもです。

「合理化」は基本的に生産性を上げ利益を上げるとされますが、先ずは人件費を削減することによって、お金の支出を減らして、「生産性」が上がった「かのように見せる政策」ではないかと思います。新型コロナウイルスとの戦いにおいて、いかに日本を含めて世界中が混乱の坩堝(るつぼ)に陥り、また死屍累々たる死者の増加を招いているかを見れば、資本主義国家(中国やロシアなどを含めて)の「負け戦」が未だ続いていることが分かります。その象徴が「灯火管制」です。大阪ではライトアップで一時は「もてはやされました」が、医療スタッフの人減らしして悦に入っていた大阪府大阪市の社会的地盤はいかに脆弱(ぜいじゃく)であったかが、新型コロナ感染症の流行が、1年を経てやっと分かったことでしょう。

 日本の政府も同じことを推進してきました。今も推進中です。医療のベッド数削減、病院の統合、入院日数の短縮、保健所の人員削減などなど。また、素人のアルバイトに、夜回りさせて、居酒屋のドアを開けて、少しばかりの話を聞くふりをして、「ちゃんと対策をやっていますね」と言って去るという話が出ていましたが、これで何が改善されるのでしょうか?

 ワクチンはまだまだこれからです。それまでは、昔、ワクチンも特効薬もない時代と同じく基本的には、自身を社会から「隔離」していくしかありません。そうでなければ「イベルメクチン」なども積極的に試みる価値があると思います(ノーベル賞を与えられた免疫学者の本庶佑氏は、使う価値があると言っていました)。 
 幅広い年代に感染が拡大し、重症者、死者が大勢出てきている今こそ「試用」してみる価値があると思います。南アフリカでは使用されています。何より安価で、発症直後、中期、後期と幅広く使えると本庶佑氏は報道で言っていました。(安倍のお友達の系列会社が作った「アビガン」は、引き続き止めた方が良いと思います)。

 わずかばかりの「緊急事態宣言」の日数で何ができるのでしょうか?「蛇の生殺し」のように思います。これなら「ロックダウン」のほうがよりましではないかと思います。読者の皆様はどのように思われますでしょうか!?

[498](投稿)寿都対話は地層処分の一里塚

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寿都で初の「対話の場」
 核ごみ調査 設置目的に住民反発 実質的議論に入らず
 
 【寿都原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む後志管内寿都町の住民と処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が意見交換する「対話の場」の初会合が14日、同町内で開かれた。町が選んだ町議9人を含む18人が出席。NUMO側は核のごみ地層処分に関する議論を始めたい考えだったが、参加者を公募しなかったことや、会則案で対話の場の目的が「地層処分への町民の理解を深める」と明記されたことに批判が噴出。全国初の「対話の場」は、幕開けから波乱の展開となった。▼ 初会合には片岡春雄町長、経済産業省の小沢典明首席エネルギー・地域政策統括調整官、NUMOの伊藤真一理事も同席。町は参加者として町民20人を選んでいたが、町内会の代表2人は欠席した。進行役は、NUMOと町が選んだ北大大学院工学研究院の竹田宜人学術研究員が務めた。▼ 冒頭、片岡町長は「調査の賛否を問う場ではなく、高レベル放射性廃棄物への理解を深め、町の将来を議論したい」とあいさつ。経産省も丁寧な議論への協力を要請した。これに対し、文献調査に反対する町議らが、町とNUMOが示した会則案では、公平中立な議論が行われないと批判。町が事実上、NUMOと一体的に対話の場を開催する形式となったことにも疑問を呈し、会則案のあり方から議論するべきだと主張した。▼ 約2時間の予定時間を過ぎても、地層処分事業への期待や不安についての意見交換など実質的な議論は行われず、会則案の承認も見送った。参加者の公募や会合の公開を求める意見が相次ぎ、NUMO側は会則案見直しの検討を示唆した。▼ 終了後、片岡町長は「会則を含め、いろんな議論になったが最終的には理解していただいたのではないか。初回なので本音が出たのは良かった」と強調。今後、20~40代の町民を参加者に加える可能性に言及した。▼ 対話の場は文献調査が行われる約2年間、月1回のペースで開かれる見通し。寿都町と同じく文献調査が進む後志管内神恵内村では15日に対話の場の初会合が開催される予定。(前野貴大、岩内江平)(2021・4・15 北海道新聞デジタル)

※※※ 真田幸村のコメント
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が進む後志管内寿都町の住民と処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)が意見交換する「対話の場」の初会合が14日、同町内で開かれました。さぞかし、片岡町長と「原子力発電環境整備機構(NUMO)」は意気込んでいたことでしょうね。とりわけ、文献調査で10億円はいると「楽しみにしている町長と町長一派」と、今秋の町長再選挙に「意欲を燃やしている」町長は。
 あたかも「対話を重視」しているかのような「標語」をつけた「対話の場」に、町が選んだ町議9人を含む18人が出席。「NUMO側は核のごみ地層処分に関する議論を始めたい考えだった」が、①参加者を公募しなかったことや、②会則案で対話の場の目的が「地層処分への町民の理解を深める」と明記されたことに批判が噴出。全国初の「対話の場」は、幕開けから波乱の展開」となり荒れました。
 「公募しなかった」ということは、町長側の意見が通りやすくした人選をあらかじめ決めていたということです。出席した人たちには「顔ぶれ」を見て、即座に分かったと思います。進行役も「NUMOと町が選んだ北大大学院工学研究院の竹田宜人学術研究員が務めた」ということで、これは「町長とNUMO」側の意見が通るような布陣です。国の御用機関であるNUMOは核のごみを埋葬することに反対する進行役は雇用しませんから、当然そうなります。また、③「地層処分への町民の理解を深める」ということが先にあるということは、この場は「地層処分」をする前提で反対者のガス抜きのために設けられたことは明らかです。それで当然のことですが、それに対しての反対意見が出たわけです。
 町長やNUMOが何と言おうと文献調査に反対する町議らが、町とNUMOが示した会則案では、公平中立な議論が行われないと批判。反対派は「町が事実上、NUMOと一体的に対話の場を開催する形式となったことにも疑問を呈し、会則案のあり方から議論するべきだと主張した」と極めて正しい意見を言いました。
 町民や町議も、これまでの町長の「あざとい」やり方を見てきたので、「正義感が強く、核のゴミの埋葬の危険性を学んできた」人たちは、正しい道筋は何かを考えたと思います。「濡れ手で粟」という楽なやり方で10億ものお金は入ってきません。小出裕章氏も文献調査などすでにNUMOがすませていることだと書いています。(注1)      
 本番はこれからですね。核のごみの怖さを知って、埋め立て地にならないように頑張るのは。幌延(ほろのべ)町のように、借地年数を数年も伸ばし、500メートルの地下までさらに掘り進むという当初の契約にないことをやるのが日本という国ですから。
 この幌延(ほろのべ)のような「庇貸して母屋とられる」というひどい国の政策を良くみて考えた方が良いと私は思います。お金で命は買えません!!
注1:『原発事故は終わっていない』 小出裕章 著 毎日新聞出版 2021年3月5日 発行
  

  

[497](投稿)ワクチンいつ?

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 田村憲久厚生労働相は20日の参院厚生労働委員会で、菅義偉首相と米ファイザー社首脳による新型コロナウイルスワクチン追加供給に関する実質合意に関し「合意書を交わしているわけではない」と明らかにした。
 首相は米国訪問中の17日、同社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)と電話会談し、ワクチンの追加供給を要請。帰国後、記者団に対し、16歳以上の国民全員分に関し「9月までに供給されるめどが立った」と表明していた。
 田村氏は実質合意の内容について「協議の話であり、事細かに言うわけにはいかない」と述べるにとどめた。立憲民主党石橋通宏氏への答弁。
 河野太郎行政改革担当相は記者会見で、希望する全国民へのワクチン接種完了は来春になるとの見通しを下村博文自民党政調会長が示したことには「年末まで時間がかかるという自治体からの報告は聞いていない」と否定した。加藤勝信官房長官も会見で「一日も早く全ての皆さんに打っていただけるよう最大限支援したい」と強調した。(共同)
【関連記事】菅首相、米ファイザー製薬CEOに電話でワクチン追加供給を要請

※※※上杉真剣のコメント:
 菅首相が米国売電大統領と「怪談」したあと、首相は、ファイザー社のワクチンが9月には供給されるかのように会見で話をし、報道でもそのように書かれ、秋の選挙戦で自民党に寄与するかのように言われていましいたが、この東京新聞の4月20日のデジタルニュースがグーグルニュースに掲載されていました。しかし、「9月に供給されるめどが立った」というだけで、実際はどのくらいの数が調達できるかは不明でした。田村大臣、河野大臣、加藤官房長官、それぞれの発現のニュアンスの違いが出ています。
 ワクチンを希望する日本に住む人全員に行きわたるのは来年の春という河野氏の発言が本当に実現するとなると、ワクチン以外の感染対策をもっと緻密に、科学的根拠を土台にして行うしかないと思いますが、「菅首相の言辞は信用が置けないことが明確になった」だけでも「良いとせねばなりません」でしょう。変異株がまん延して多数の死者が、多数の後遺症を背負う人たちが、より少なくなるように願うしかない時代ですね。政治的誇大広告の反動が、この先、どのように表れるのかも「楽しみです」。残念ながら。

[496](投稿)核ごみ現地「対話」紛糾、物言えぬ雰囲気も

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核ごみ「対話の場」地域事情を反映 寿都と神恵内、対照的な出だし
04/17 05:00(北海道新聞デジタルより)
寿都、神恵内】後志管内寿都町神恵内村で14、15日、全国で初めて開かれた原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分事業に関する「対話の場」は、文献調査開始までの経過や地域事情が色濃く反映する展開となった。「分断」が進む寿都町では反対派町議が会則案などを問題視して紛糾。神恵内村では村の将来像を率直に話し合う機会と受け止める参加者もいるが、原発立地自治体として物言えぬ雰囲気も漂う。

■町議主導で紛糾 
 「町長がいくら処分場を持ってくる話ではないと言っても、しっかり確かめなければ議論はできない」。寿都町の幸坂順子町議は2時間半に及んだ14日の初会合終了後、片岡春雄町長への不信感を隠さなかった。 寿都町では「肌感覚」で文献調査応募に踏み切った町長に反対派の町民が強く反発。町議会(定数9)も4人が反対派だ。町長が6選を目指す今秋の町長選に向け、対抗馬擁立の動きもくすぶる中、町や原子力発電環境整備機構(NUMO)が町議全員を対話の場の参加者に選べば、反対派町議が厳しい姿勢を示すことは容易に想定できた。
 にもかかわらず、NUMOは「地層処分事業の理解を深めることが目的」と明記した会則案を提示。さらに会則案への了承を得ないまま、地層処分の説明など実質の議論に入ろうとして反対派町議の怒りを買い、NUMO職員も「ここまで荒れるとは思わなかった」と見通しの甘さを認めた。
 NUMOは月1回の頻度で対話の場を開く方針だが、反対派町議ら3人は「処分場ありき」だとして次回の参加を見送ると表明。会則案見直しの議論も予想され、すぐに「対話」が始まる雰囲気とは言い難い。

■村議の参加なし 
 15日の神恵内村の初会合は、NUMOが会則案の説明に時間をかけるなど対応を改善。賛否を超えて村の将来を話し合う場になると期待する参加者もおり、公募参加者の池本美紀さん(43)は会合後、「いろいろな村民の意見を聞き、伝えていきたい」と話した。
 高橋昌幸村長が昨年10月に文献調査受け入れを表明した際には村民から「議論する時間がなかった」との不満も漏れた。それでも初会合が紛糾しなかったのは、北海道電力泊原発(泊村)の立地自治体のため「原発関連の仕事をしている人が多く、原子力政策に反対しにくい」(参加者の60代男性)という事情もある。  
 村議会(定数8)でも調査に反対しているのは2人。寿都町と異なり、住民投票条例案や「核抜き条例」案は議題となっていない。村議は対話の場に参加せず、NUMOから必要に応じて報告を受ける見通しだ。
 初会合はおおむねNUMOの想定通りに進み、NUMO関係者は「議員が入っていなかったことが大きい。議員は住民を代表している意識があり、どうしても意見を言いたくなる」と漏らした。処分場選定に向けた「実績」を重ねるため、国やNUMOが今後、寿都町より神恵内村の議論を重視する展開もありそうだ。
 原子力政策に詳しい東京電機大の寿楽浩太教授(科学技術社会学)は「寿都町が紛糾したのは、町やNUMOが参加者に共通の認識を持ってもらう事前準備を怠ったためだ。神恵内村も含め説明を尽くす姿勢を徹底しなければ、信頼は得られない」と指摘した。(山田一輝、岩内江平、川崎学)

■両地区「初会合」 参加者の構成は
 【寿都、神恵内】核のごみの最終処分事業に関する「対話の場」の初会合に向け、後志管内寿都町原子力発電環境整備機構(NUMO)とともに参加者20人を選んだ。片岡春雄町長は当初は公募する意向を表明していたが、撤回した。
 内訳は町議全9人と、商工会、建設協会、観光物産協会、水産加工業協同組合、漁協、まちづくり団体、地元ケーブルテレビの代表各1人、福祉施設、町内会連合会の代表各2人。 町内会の代表2人は14日の初会合を欠席した。調査反対派の町議ら3人は次回は出席しないと明言しており、参加者の構成が変わる可能性がある。
 一方、同管内神恵内村の参加者は18人。村とNUMOが選定した漁協、商工会、観光協会、PTA連合会、社会福祉協議会、まちづくり団体、介護施設、村内3地区の代表計14人と、公募で選ばれた4人で構成される。15日の初会合には全員が出席した。村議は入っておらず、村やNUMOから必要に応じて報告を受け、意見交換する見通しだ。

※※※ 真田幸村のコメント:寿都町の「対話の場」は、「対立の場」と変わりました。初めから、片岡町長とNUMOの「核のごみ受け入れ容認」の姿勢に対して、反対派町議ら4人は「処分場ありき」だとして次回の参加を見送ると表明しました。また、「受け入れ容認」の会則案見直しを拒否して、次回の参加を見送るとしました。
 一方、NUMOは、神恵内村では寿都町の「討論会」の反省を踏まえて?「会則案の説明に時間をかけるなど対応を改善」し「賛否を超えて村の将来を話し合う場になると期待」できるように柔らかめの対応をしたようです。また、「初会合が紛糾しなかったのは、北海道電力泊原発(泊村)の立地自治体のため『原発関連の仕事をしている人が多く、原子力政策に反対しにくい(参加者の60代男性)という事情もある」と書かれています。また「寿都町と異なり、住民投票条例案や『核抜き条例』案は議題となっていない。村議は対話の場に参加せず、NUMOから必要に応じて報告を受ける見通しだ。   
 初会合はおおむねNUMOの想定通りに進み、NUMO関係者は『議員が入っていなかったことが大きい。議員は住民を代表している意識があり、どうしても意見を言いたくなる』と漏らした」と書かれています。村民に任せた方が良いという村長の意向と上記の北電の原発で仕事をしている村民が多いという事情があるからというのが要因になっているようです。しかし、地層はどうでしょう。NUMOとしては、地
層はどうでもよくて、全国で「核のごみ」を引き受けてくれる過疎地域の町村がこぞって手を上げてくれることがあれば、10億円を支払っても安いものと考えて、「10億円の文献調査」を掲げて、他の地域の手が上がることを願ってのパフォーマンスではないでしょうか?もし「地層処分地」になれば、長期にわたる仕事が増え、外部から工事をする人もかなりの期間は増えますが、これも「自然破壊」との引き換えになり、工事が終われば「荒れ果てた村」となる可能性もあります。
 北電が「再稼働」を希求している泊原発福島原発事故のような事故を引き起こした場合は、広範囲の地域が汚染区域(30~50キロメートル)になり、村から別の土地に住まい、仕事を見つけなければなりません。そこまで村民の皆様はお考えになっておられるのでしょうか?

 また、日本にはいまだに解除されていない緊急事態宣言があります。それが2011年3月11日
に発令された「原子力緊急事態宣言です」と小出裕章氏は強調し指摘されています。福島第1
原発事故以来、日本は「原子力緊急事態宣言下」にあります。そのことを再稼働を目指す北海道電力や東電などと同じく、政府・経産省・NUMOもすっかり忘れてているのではないでし
ょうか?

原発事故については、是非、「原発事故は終わっていない」 小出裕章 著 毎日新聞出版社 をお読みいただければ幸いです。

[495](投稿)処理水 飲んでみないとわからない

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① 処理水「飲んでみて」と中国 麻生氏発言踏まえ放出非難
04/14 19:32(北海道新聞デジタルより)
 【北京共同】中国外務省の趙立堅副報道局長は14日の定例記者会見で、東京電力福島第1原発の処理水について「飲めるというなら飲んでみてほしい」と述べた。麻生太郎財務相の「飲んでも何てことはないそうだ」との発言を踏まえ、海洋放出の方針決定を改めて非難した。
 趙氏は「太平洋は日本の下水道ではない」と非難した。韓国の文在寅大統領が国際海洋法裁判所への提訴検討を韓国政府に指示したことについても「日本が国際社会の懸念を重視することを希望する」と述べた。
 麻生氏は13日、海洋放出の方針決定に関して「もうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」と発言し、残留する放射性物質トリチウムの濃度は中韓が海洋放出しているものより低いと指摘した。

② 麻生氏「じゃあ中国の下水道か」 処理水の放出巡り中国側と応酬過熱
04/17 05:00(北海道新聞デジタルより)
 東京電力福島第1原発の処理水について「飲める」と安全性をアピールする麻生太郎副総理兼財務相と、海洋放出に反発する中国側の応酬が過熱している。麻生氏は16日の閣議後記者会見で、中国外務省の趙立堅副報道局長が「太平洋は日本の下水道ではない」と非難したことを持ち出し、「じゃあ中国の下水道なのか。みんなの海じゃないのか」と反論した。
 麻生氏は13日の会見で、処理水について、中国や韓国が海洋放出しているものより放射性物質の濃度が低いとした上で「飲んでも何てことはない」と主張。一方、趙氏は14日の会見で、「下水道」発言に加えて「飲めるというのなら飲んでみてほしい」と述べ、日本政府の対応を批判した。 これに対し、麻生氏はこの日、改めて「飲めるんじゃないですか、普通の話だったら」と応じ、不快感を示した。(山田崇史)

※※※ 骨川筋衛門のコメント: 「東京電力福島第1原発の処理水について『飲める』と安全性をアピールする麻生太郎副総理兼財務相と、海洋放出に反発する中国側の応酬が過熱している」という「本当は怖い話です」が、たまに「子どもの喧嘩」のように読んでみるのもいいかもしれません。この「緊急事態宣言がでそうなコロナ変異株禍事態の」中で、最初は「少し笑って頂き後で怖くなる話」も良いかと思い拾い上げました。

「麻生氏は16日の閣議後記者会見で、中国外務省の趙立堅副報道局長が『太平洋は日本の下水道ではない』と非難したことを持ち出し、『じゃあ中国の下水道なのか。みんなの海じゃないのか』」と反論しました。麻生氏は13日の会見で、処理水について、「中国や韓国が海洋放出しているものより放射性物質の濃度が低いとした上で『飲んでも何てことはない』と主張。一方、趙氏は14日の会見で、『下水道』発言に加えて『飲めるというのなら飲んでみてほしい』と述べ、日本政府の対応を批判」しました。これに対し、「麻生氏はこの日、改めて『飲めるんじゃないですか、普通の話だったら』と応じ、不快感を示した」ということです。問題は、「目くそ鼻くそ」の「喧嘩」だということです。(この麻生氏の「普通の話だったら」という意味が分からないので、分かる方に教えていただきたいと思いますが)。
 核心点の一つは、日本、中国(韓国も含め)いずれも近隣諸国を含め、世界中の原発からは「核のうんこ=高レベル放射物質」が海洋や河川に放出・投棄されているという事実があるということです。原発の燃料は冷却水を入れて沸騰させ、タービン建屋で沸騰した高温の水=沸騰した湯・蒸気でタービンを回して、発電せねばなりません。沸騰水は海水や河川水(内陸にある原発は河川水を利用します)で冷却され、再度「圧力容器内」でこの冷却された水は何回も加熱されるという「循環を繰り返して」…発電するように作られています。放射能で沸騰した水は放射能を帯びます。この放射能を帯びた熱湯水から出る放射能は、タービン室の冷却水に放射能を帯びさせます。この冷却水は放射能を帯びるだけでなく高温にもなるので、海洋に放出されます。(原発は海水を温める機械と言われています。そして「温暖化」に関わっています)。その後、冷えた海水や河川水をモーターでくみ上げタービン室に入れて、冷却水として利用します。放出・投棄された放射能を帯びた「冷却水」は多様な放射能を帯びています。海洋や河川は汚染水となって海や河川を放射能汚染します。
 このことが分かっていれば、誰も汚染水を飲みません。例えALPS(アルプス)で多くの核種を除去したとしても、トリチウムだけは除去できません。(かつてはALPSと言えども除去できないことがあり、トリチウム以外にセシュウムなども汚染水に含まれる結果となっていました)。このトリチウムは「6ミリメートル」しか放射能を飛ばさない、「体内にも長くは残らない」という宣伝のもとで、「飲んでも大丈夫」とNUMOは宣伝していましたが、それは間違いです。普通の水と同じ振る舞いをするなら、体内に吸収され、細胞内にも入り込み、放射線を6ミリメートル飛ばすなら、細胞内外で「放射線障害」を引き起こします。遺伝子に当たれば癌になることもあるでしょう。細胞が壊れれば、血管の細胞や臓器の細胞が壊れて心臓血管系、腎臓、肝臓、脳血管障害などを引き起こしても不思議ではありません。
 このような「核のうんこ」を飲む人はいないと思いますが、海洋産物や河川水の産物、蒸発して陸地に雨となって降ると農地や山林が汚染されて、大地も汚染されていきます。それを吸収した海産物や農産物、山菜等を摂取する魚介類や農産物や飼料として食べた牛や豚や鶏なども汚染され、最後に食物連鎖の頂点に立つ人間に回ってきます。直接、トリチウム水を摂取しなくても、もはや私たちは汚染水を食べたり飲んだりしているのです。▼これを止めるためには、原発を廃棄するしかありません。「核のごみ=高レベル放射性廃棄物=核のうんこ」を作らないことがまっとうなことです。隣国と喧嘩している場合ではありません。▼原発を止めると、電力不足はどうするのだということを心配されると思いますが、炭酸ガスが出ようとも、火力発電で電力は不足しません。関西電力は、原発再稼働して、火力発電を止めて帳尻を合わせています。▼火力発電は炭酸ガスを出すので、温暖化を進めるのではないかという懸念をお持ちの方もいると思います。温暖化の原因は未だに炭酸ガスのせいであるという確たる証拠はありません(小出裕章 著 「原発事故は終わっていない 毎日新聞出版」を参照してください)。安全・安心の道筋は、先ずは「原発を止めること」です。読者の皆様は、どのように思われますでしょうか!?

★追記:原発は温暖化を推し進める!? 小出裕章氏は、原発は「海水」温め機と書いています。1秒間に70トンの水を7度上げる熱エネルギーを持っていると!!これで世界中が原発を稼働していて、世界が温暖化に「寄与」しないわけがありませんね。

★★★ 原発は「海温め装置」「温暖化を防ぐならまず、原発を止めること」

 私の恩師である水戸巌さんは、「原子力発電という名前は正しくない。正しい名前は『海温め装置』だ」と指摘されました。私はこれを聞いて、目から鱗が落ちる思いがしました。確かに原発のエネルギーの3分の2は海に棄てられ、海を温めているのですから「海温め装置」と呼ぶのが正当です。

 これは海の生物にとっては大迷惑な話です。100万キロワットの原発1基は、1秒間に70トンの海水を7℃温めます。東京の主要河川である荒川でも、1秒間に30〜40トンの流量だと思います。1基の原発は、荒川以上に巨大な川の水を7℃も温めて海に流しているのです。

 日本にある55基の原発全体からは、1年間に1000億トンの温かい水が排出されます。日本全土に降る雨の量は1年間で6500億トンで、そのうち川に流れるのは4000億トンです。つまり原発は、毎年日本の川を流れる水の4分の1に相当する量を7℃温めて海に戻しているのです。

 温暖化対策を真剣に考えるなら、炭酸ガスを問題にする前に真っ先にこの「海温め装置」を止めるべきです。(小出裕章氏)