[512](投稿)〈核のごみ、どこへ〉周辺自治体の声生かせ

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<シリーズ評論 核のごみどこへ>26 周辺自治体の声生かせ 茨城県東海村前村長・村上達也氏(78)

 2011年3月の東日本大震災では、日本原子力発電東海第2原発茨城県東海村)を5・4メートルの津波が襲い、防潮壁の上端までわずか70センチまで迫った。工事が終わらなかった壁の一部に穴があり、原子炉の冷却に必要な非常用発電機3台のうち1台が止まった。東海村も福島と紙一重の状況で、幸運が重なって事故が防げた。▼ 東海第2原発の半径30キロ圏内には約94万人が住む。ひとたび事故が起きれば、多くの人が避難しなければいけない。福島第1原発事故を目の当たりにし、東海村だけでは住民の安全に責任を持てないと思うようになった。▼ 翌年2月、水戸市那珂市など周辺5市の市長に、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけた。各市長も原発事故への危機感が強く、乗ってきてくれた。後任の山田修村長が協議を続け、18年3月、再稼働には東海村に加えて5市の「事前了解」を得るとする、新たな協定を原電と結んだ。以前は、茨城県東海村が同意すれば原発を再稼働できたが、5市と東海村の市村長が1人でも反対すればできなくなった。▼ 後志管内寿都町神恵内村の町村長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募したのは信じられない思いだ。北海道には自然豊かな良いイメージがあり、それにより農林水産業や観光業が発展してきた。調査が進めば核のごみのネガティブな印象がつく。こうした被害を受けるのは周辺地域だ。これだけ重要な問題を寿都町神恵内村だけで判断してはならない。調査に応じれば交付金をもらえるが、原発マネーに依存してしまえば地域は発展しない。▼ 原発から出る廃棄物は、東海村を含め原発がある自治体が引き受けることを考えないといけない。これらの自治体は原発を誘致し、さまざまな形でお金をもらってきた責任がある。まず国は、いつまでも実現しない(原発で使った燃料を再利用する)再処理をやめるべきだ。その上で、各地の原発でより安全性の高い方法で保管すればいい。▼ まだ文献調査は始まったばかりで、引き返すことはできる。茨城県のような協定がなくても、周辺自治体の首長が連名で反対の意思を伝えれば、寿都町神恵内村は無視できない。住民の関心を高めて、地域が一体になって声を上げることが重要だ。(聞き手・長谷川裕紀)

<略歴>むらかみ・たつや 1943年東海村生まれ。一橋大卒。常陽銀行ひたちなか支店長を経て、97~2013年に東海村長。「脱原発をめざす首長会議」の世話人を務める。
(北海道新聞デジタル 2021・5・4 より)

※※※ 真田幸村のコメント:
 「2011年3月の東日本大震災では、日本原子力発電東海第2原発茨城県東海村)を5・4メートルの津波が襲い、防潮壁の上端までわずか70センチまで迫った。工事が終わらなかった壁の一部に穴があり、原子炉の冷却に必要な非常用発電機3台のうち1台が止まった。東海村も福島と紙一重の状況で、幸運が重なって事故が防げた」と、2011年3月11の東日本大震災で、女川原発も含めこのような原発に危機的状況が迫っていました。福島第一原発事故と同じ道をたどったかもしれないのです。

 電気を生む原発が、電源喪失メルトダウンするという皮肉な結果が、「福島第一原発だけで済んだのは、『幸い』?だったわけですが、極めて辛い被害を直接的に被ったのが福島第一原発の周辺の自治体やそこに住む数多(あまた)の人びとだけ?だったのは奇跡というほかありません」【自死された有機農法をされていた方や可愛がっていた乳牛などを見捨てざるを得なかった方や放射線量が極めて高くて地域の紐帯(ちゅうたい)を自分の考えではなく切り話さざるを得なくなって避難を余儀なくされた人々…のことまで政府は考えてはいなかった。今でも考えずに、福島並びに全国の漁業者の反対を無視して、死の灰を海洋に放出することを決めるというあくどい仕打ちを「新型コロナ禍のなか」で押し通す菅官邸や政府のありようをどのようにお考えになりますか?】。

 東海第2原発茨城県東海村)の周囲の半径30キロメートルに限っても、約94万人が被ばくする可能性があったということです。しかし、上記の「直接的被害」以外に、間接的に福島第一原発事故では、思わぬ所に強い放射線を放つ核物質が降り注ぎました。また、高く吹き上げられて、日本列島の遠隔地にも海洋にも海外の諸国にも、チェルノブイリ原発と同じように大量の放射能を放つ核物質【死の灰】が降り注いでいるのですが、政府は、これまで同様に、あらゆる原発事故の影響をなるべく小さく見せようとしてきましたし、これからもするでしょう。

 翌年2月に、日本原子力発電東海第2原発周辺の水戸市那珂市など周辺5市の市長に、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけ、原発の再稼働について原電との協定見直しを呼びかけました。その結果、各市長も原発事故への危機感が強く、呼びかけに乗ってきてくれました。後任の山田修村長が協議を続け、18年3月、再稼働には東海村に加えて5市の「事前了解」を得るとする、新たな協定を原電と結びました。それ以前は、茨城県東海村が同意すれば原発を再稼働できましたが、5市と東海村の市村長が1人でも反対すればできなくなったのです。

 このような経緯を知っている茨城県東海村前村長・村上達也氏(78)は、「後志管内寿都町神恵内村の町村長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募したのは信じられない思いだ」と言います。また、「北海道には自然豊かな良いイメージがあり、それにより農林水産業や観光業が発展してきた。調査が進めば核のごみのネガティブな印象がつく。こうした被害を受けるのは周辺地域だ。これだけ重要な問題を寿都町神恵内村だけで判断してはならない。調査に応じれば交付金をもらえるが、原発マネーに依存してしまえば地域は発展しない。  
 原発から出る廃棄物は、東海村を含め原発がある自治体が引き受けることを考えないといけない。これらの自治体は原発を誘致し、さまざまな形でお金をもらってきた責任がある。まず国は、いつまでも実現しない(原発で使った燃料を再利用する)再処理をやめるべきだ。その上で、各地の原発でより安全性の高い方法で保管すればいい」と強調します。地域が一体となって、核のゴミ捨て場に関する文献調査等に対して反対の声を上げるべきだと断言しています。私も同感です。(注1) 原発そのものの廃絶と核のゴミ【死の灰】を国や電力会社で責任をもって、「処理」し「監視」するようにしてほしいものです!! 「監視」は10万年では足りず、100万年単位になると思います。なぜなら「プルトニウム」の半減期は2万4千年です。これが限りなく減衰していくのを計算してみてください。放射能の健康に対する悪い影響が及ばないくらいになるには、10万年ではあきらかに足りないでしょう。そこまで考えて、即時に、再稼働をしている諸原発に対しても「即時停止を求めたい」と思います。 読者の皆様はどのようにお考えになりますでしょうか!?


注1:日本原電・東海第二原発の再稼働差し止め命じる判決…「避難計画整えられていない」

2021/03/18 20:52