[532]オリンピック狂騒曲の陰で原発提言

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「ワクチン予約狂騒曲」の裏側で、原発計画ジワリ

 新型コロナはなお終息せず、政府の対策はジグザグ。なんとこの時期にオリンピックをやるといいます。政府は国民のことより自分の事情を優先しています。
 その陰で26日の朝日新聞が3面で「ひっそり」と自民党原発政策を報じています。
 今年の夏、日本のエネルギー基本計画が改定されようとしています。

 5月25日、自民党は総合エネルギー戦略調査会(額賀会長)で原発の建て替えや新増設の提言案をまとめました。提言案には現基本計画にある「可能な限り原発依存度を低減する」という表現――25日の調査会でこの表現を残すべきだという意見もあった――も削除されています。核のごみ処分問題を抱えたままで、二酸化炭素削減を口実としてさらに原発を推進するというのです。

 現在の国のエネルギー基本計画では2030年度の電源構成を原発20~22%、再生エネルギー22~24%としており、自民党は改定されるエネルギー計画においても原発の比率を維持・強化するという提言をおこなおうとしています。

 2030年度に原発20~22%を維持するためには、いまある原発36基(建設中の3基含む)のうち約30基の再稼働が必要とされるといわれています。2011年の福島第一原発の事故後、再稼働しているのは9基です。40年を超える老朽原発の再稼働も視野に入れています。


国、電力会社、原発メーカー、電機労連、電力総連傘下労働組合が一体となって

 
 原発は規模によりますが、2015年段階の政府試算で大体1基4400億円かかるといわれ、実情1兆円超といわれています。

 巨大プロジェクトで利潤をえている電機独占体、電力会社、資本家の代表部たる政府が一体となって推し進めてきたいわば国策としての原発を「カーボンゼロ」を錦の御旗としてなお維持・推進するというのです。それのみならず政府自民党原発推進のなかに核武装の目論見さえ潜ませていることには十分に警戒する必要があります。

 原発推進をエネルギー基本計画に盛りこむのは新たな原発事故の可能性を日本の労働者階級、農·漁民に承認することを迫っているに等しいのではないでしょうか。しかも原発関連各社の労働組合原発政策を支えているのです。昨年立憲民主党と国民民主党が合流する際に、電力総連、電機連合出身議員らは脱原発を掲げる立憲民主党にいくことを拒みました。これらの労働組合指導部は経営者と一体化して原発に賛成しています。戦争中の産業報国会と同じようになってしまった連合内の大産別の指導部が、原発をがっちり支えることを傘下の組合員に指導しているのです。

 いま政府・自民党憲法を改悪し「戦争のできる国」への憲法上の仕上げをめざしています。新型コロナ危機はなお収束せず、労働者の生活の危機は深まっています。メディアがオリンピック開催騒ぎに向かっているときに、自民党の総合エネルギー戦略調査会が原発推進を提言していることを見逃してなならないと思います。