[533]土地規制法強行採決、なぜだ

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土地規制法案、採決強行
国民民主、維新は賛成

 28日政府は衆院内閣委員会で土地規制法案の採決を強行しました。

 法案には基地周辺や国境付近の離島などの土地売買に絡む事前届け出の義務づけや、土地所有者に関する調査を可能にする内容が盛り込まれています。

 政府は、土地が外国人らに買収される事例を念頭に、安全保障上のリスクがあると主張しています。
 これに対して、立憲民主党は「私権の制限が行き過ぎている」と指摘。「調査対象となる施設の範囲があいまい。市民運動が阻害される可能性もある」として、調査対象の明確化や、市民運動の権利の確保、届け出違反の罰則の削除などを柱とする修正案をまとめましたが、政府はこれを拒否しました。昨日内閣委員会で強行採決し今国会での成立を狙っています。

 この法案は私権の制限が行き過ぎているという問題をこえています。政府は対馬や千歳の自衛隊基地周辺の自治体議員や自民党議員から訴えを理由にしていましたが、自治体から訴えはないことが明らかになっています。


では政府はなぜいまこの法をつくろうとするのでしょうか


 自民党の立法化に向けた強硬な動きは、外国人が基地周辺の土地を買うことを規制するということを名分とした有事を想定した体制づくりの一環ととらえることができると思います。土地規制法案は基地周辺での反戦反基地闘争の弾圧を狙うとともに、有事を想定した土地所有の調査・収用を可能にすることをも狙っているのではないでしょうか。沖縄の基地周辺も想定されていると推断できます。
 こんにち米バイデン政権は中国を主敵とした日本との軍事同盟関係の強化を宣言しています。これにこたえ、日本政府は日米安保=軍事同盟にもとづく日米共同作戦をスムーズに展開するための基地周辺の戦時体制づくりの法的整備をなそうとしているのではないでしょうか。従来から計画していた法案に拍車がかかっています。
 
 自衛隊はすでに5月23日、東富士演習場で78億円も投じて実弾で演習をしました。中国を想定した実戦訓練です。改憲を日程にのぼらせている政府は日本を「戦争のできる国」へと変えるために実弾演習を公開して国民を戦争に馴化させようとしています。
 さらに、コロナ危機のなかで貧窮がひろがっているにもかかわらず、巨額の浪費をするのはもうひとつの理由があるのです。
 経済的には既存の武器弾薬を使いきり、補給するために予算を使って兵器産業に稼がせるという意味があります。経済に軍事がビルトインされているという事態を経済の軍事化といいます。日本の重工業独占体は兵器、原発がどうしても必要なのです。
 いま新型コロナ危機のなかで、私たちが働き暮らす日本は軍事大国の道を進んでいます。

 野党が言う「私権制限反対」という闘い方は無力なのです。反戦平和の運動の創造が問われているのです。