[1043]困窮する庶民 連帯の機運 その3

 

朝日新聞「欧州季評」つづき

 ブレイディみかこさんは「減税とバラマキ」と言われているトラス政権の経済政策は「おもに高額所得者や銀行家といった人々が対象であり、月々の食費や光熱費の増加のスピードを心配している庶民のためではない」と言います。

 そしてそのことをニュースで知って一斉にブーイングした病院の待合室にいた人たちとエリザベス女王国葬に並んだ「あの列」(The Queue)を包んだコミュニティー・スピリット(共同体意識)が繋がっているのではないかと感じているのです。

 ブレイディさんは言います。

 病院の待合室で「見知らぬ人たちとしゃべり始めた光景が心に残った。この感じもまたあの列と繋がっているのではないか。何かが起きたときにぱっと繋がる連帯の機運が、いまの英国にはあるように思える。」

(こういう国民的機運の中で、トラス政権は減税案を撤回し財務相を解任しました。)

 

 夏に始まった鉄道労動者の大規模ストライキは今なお続けられているそうです。ブレイディさんは言います。

「考えてみれば、女王が死去する前から、連帯の機運はあった。この国の人々は、社会への不満や怒りを個人ではなく、集団で爆発させるからだ。世論調査会社サバンタ•コムレスが今夏行った調査では、現在の状況ではストリートでの暴動すら正当化され得ると答えた人が29%おり、44%が数ヶ月のうちに暴動が起きるだろうと答えた。 このムードを軽視すると、トラス政権は墓穴を掘ることになる。」

 

 19日朝のテレビ朝日のニュース速報はイギリスのトラス新政権の支持率が7%になったと伝えています。

 イギリスは社会への批判や怒りを集団で爆発させ社会の仕組みを変えた「市民革命」の伝統があります。イギリスは市民革命によって世界に先駆けて資本主義社会となりましたが、今その資本主義の矛盾が労働者階級を苦しめているのです。

 物価値上げと賃金抑制、そして政府の金持ち優遇の税制改悪にたいして組織的に闘う労働組合、民衆と私たちは連帯しなければなりません。

 

 日本でも物価は上がり続け労動者庶民の生活は厳しくなる一方です。例えば昨日私の近所のスーパーで鮭の切り身の特売があり、一枚100円が150円に値上がったものを一日限定で100円にするというチラシを見た主婦、高齢者が売り場に長い列をなして並びました。

 連合は来春闘で5%の賃上げ要求をすると言っていますが焼け石に水です。