[1241]嘉手納基地、安保の現実を見る目を遮る動き

 朝日新聞のシリーズ「遮断の時代」からです。

<世界では戦争や有事の危機、国内では政治家や著名人への襲撃事件が相次ぐ。不穏な空気が漂う中、自由にみること、きくこと、はなすことが遮られていないか。記者が各地を歩いた。>(朝日新聞デジタル

 朝日新聞「遮断の時代」は、第2回目で平和運動にたいする今日の日本社会の内部にはびこる抑圧的動きを伝えています。

 沖縄嘉手納基地近くの道の駅「かでな」で米軍の出撃動向を見ている・戦争に反対する「ウオッチャー」と言われる方が無言で監視されたり、怒鳴られたりしているといいます。

 「安保の現実」への視線を遮る動きがこのところ強くなっていることを朝日新聞の記者が伝えます。

「視線を感じた。振り返ると、数メートル先の自動販売機の陰に外国人風の男性がいた。 銀色の髪、襟つきのシャツ姿でメガネをかけていた。手元のスマートフォンは、ずっとこちらを向いていた。 

 不審に思って、持っていたカメラのレンズをその男性に向けた。すると、つかつかと歩み寄ってきてこう言った。 『あなたはメディアですか?』。片言の日本語。『何で撮るんだ』と問い返すと立ち去った。」

 これは「ウオッチャー」と呼ばれる報道カメラマンの体験です。彼は、「昨秋から奇妙なことが続いている」と言います。最近不定期に訪れる外国人風の3~4人連れが、ウオッチャーたちの様子を見張っているように感じるのだそうです。友人のカメラマンが「身分証を出せ」とすごまれ見せたこともあるといいます。「異変」は最新鋭機が飛来するのと同時期に始まりました。

 基地を一望できる道の駅は、嫌がる米軍当局を町側が「基地の現実を知ってほしい」と押しきって2003年につくられました。

 最近は先のような監視の動きとともに、道の駅施設に日本人からの抗議が来るといいます。

「おまえらは中国のスパイだ」「情報を与えて攻めてきられたらどうするよう」という怒鳴り込みが相次いでいます。肩に日の丸のついた特攻服を着た男性が展望所にいたカメラマンらに罵声を浴びせ、1階まで引きずり回したそうです。

 対中国の日米韓の軍事的協力関係の緊密化と同時並行的に国民の中に自警団のような動きがはじまっているのは不気味です。