[1309]「思考停止」の今に警鐘、本の紹介

 8日(土)の朝日新聞「読書」欄の「著者に会いたい」コーナーに『堤未果ショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』(幻冬舎新書)が紹介されています。

 この本はおもしろそうです。宮地ゆう氏の書評もよく書けていると思います。「思考停止の未来に警鐘」という見出しが付けられ、「一気呵成に物事が進む政治に『何かおかしい』と感じている人は少なくないのではないか。その違和感の正体を『ショック・ドクトリン』というキーワードで読み解いた」と始まっています。ショック・ドクトリンとは、「テロや自然災害、パンデミックなどの混乱に乗じて、為政者や巨大資本が新自由主義的な政策を一気に進める手法を指す」と説明されています。カナダのジャーナリスト、ナオミクラインの同名の本で広がったのだそうです。

 私は安倍政権の頃より岸田政権のほうが悪政のペースが速くなったと感じており、この半年で「戦後日本」が清算されてしまいました。自衛隊の敵基地攻撃能力保持、防衛費43兆円、財源確保法、武器輸出緩和、原発の国策化、マイナンバーカードの事実上の強制化······一気呵成の攻撃でした。何かおかしいというよりは、抵抗すべき野党が攻撃する側に加勢しているために問題が問題化しないというのが怖い。

 堤未果さんの転回点が紹介されています。

「2001年の米同時多発テロが起きたとき、著者は現場近くの証券会社で働いていた。だが『本当の恐ろしさはその後だった。』恐怖が社会を覆い、メディアは同じ論調に染まり、米政府は通話記録などの情報収集を始めた。猜疑を挟むこともできない空気の中、イラク戦争へと進む様子に『真実は自分で探すしかない』とジャーナリストに転じた。」

 

 2001年当時、私はアメリカを訪れた知人の話を聞いたことがありました。アフガニスタン戦争を前にして街は愛国の熱気でとても反対意見を言える雰囲気ではなかったとその方は言っていました。

 書評は終わりに堤さんの言葉を引用します。

「違和感を感じる感度を上げてほしい。そうすれば自分の身を守ることができる」。

 この本を読んでみます。