[1352]立憲民主党の処理水放出に関する考え

 立憲民主党泉健太代表は8月25日の定例会見で、東京電力福島第1原発で出た処理水の海洋放出が始まったことについて、漁協の理解を得られていないことなどを理由に「間違っている」と改めて批判しました。

 泉代表は中国側は「もう本当によく分からない措置になっている」とも言い、「科学的根拠や冷静さを欠く措置」だとして、「強く抗議するし、中国政府は速やかにこの措置を撤回すべき」だと主張しました。

 泉代表は中国が放水に反対するのは「科学的根拠を欠く」と言います。政府も同じことを言っています。しかし、中国の反対理由を正確に紹介しそれを批判したのを見たことがありません。

 さらに中国政府が処理水を「汚染水」と表現していることについては、日本の国民に大きな影響を与えることはないとの見方を示した上で、 「中国の国民が日本の海産物を食べられなくなる。それはむしろ『残念ですね』ということではないか」 と述べました。

 (筆者註:この意見はピントが外れています。早晩日本でも買い控えが広がります。何より大切なことは「汚染水」と表現されていることが中国の禁輸措置の理由を説明しているのだから、その真偽を党代表として科学的に確かめなければなりません。)

 泉代表は続けて言います。「党としての見解は既に固まっている。党としては『処理水』であると考える」 党内には、処理水について「汚染水」と表現し、安全性に問題があるとして放出に反対している議員もいる。例えば阿部知子衆院議員はX(旧ツイッター)で「処理汚染水」と繰り返し発信していると。

 そして党としては「処理水」だとする立場を繰り返しています。

 「岡田(克也)幹事長から注意がすでになされていると私も認識している。日本の政治家ですから当然、それはどの党においても、政党所属の国会議員とはいえ、1人1人の国会議員が様々な見解を持つということそのものは、即座に否定されるべきものではないと思っているが、党としての見解は既に固まっている。党としては『処理水』であると考える」 (J-CASTニュース参照)

 分かりにくい説明です。汚染水と規定することが誤っているというのであればトリチウムは汚染源ではないということになります。そうであれば処理水をタンクなどに貯めず海に流せばよかったのです。

 泉代表は漁協が納得していないから放出反対といいます。自分自身は処理水が海に流されるのは反対なのか賛成なのか。汚染水ではなく処理水だ、だからと言って安全だから流せとまでは言わない。

 呼び方は、汚染水と言っても処理水と言ってもどちらでもいいでしょう。トリチウムを含む冷却水がいかに危険か言えばいいのです。

 泉さんをはじめ立憲民主党の議員はIAEAや政府の言うことを鵜呑みにせず自分たちで内部被曝の危険性を科学的に考えなければなりません。