[1451]ウクライナの「愛国ムード」について

 

 ウクライナの人々の声をロイター通信が伝えています。

 日本政府と大手メディアはウクライナ戦争についてゼレンスキー大統領の停戦拒否の公式見解を伝えていますが、戦局は膠着しておりこのままでは犠牲が増えるばかりです。

 日本政府が戦争の長期化に手を貸すことに反対しなければなりません。

30日のロイター通信を引用します。

侵攻当時の「愛国ムード」から冷めつつあるウクライナ、軍の増員進まず 現役兵士の家族は不満 

11/30(木) 11:20配信

 アントニーナ・ダニレヴィッチさんの夫は2022年3月、ウクライナ軍に入隊を志願した。国民は愛国心にあふれ、徴兵事務所の前には志願者の行列ができていた。 だが、もはやあの時のような行列ができることはないと、アントニーナさんは言う。 侵攻から2年を迎えようとする中、ウクライナは軍の増強が思うように進んでいない模様だ。それは、すでに兵役についている人々にとって、ほとんど休む機会がないということを意味している。

 アントニーナさんら2万5000人の市民はこの秋、ゼレンスキー大統領にあてた嘆願書を提出した。兵役を無期限に続けることはできないとし、夫たちがいつ除隊するのか明確な計画を示すよう求めている。 戒厳令により、公共の場所でのデモが禁止されているにもかかわらず、女性たちはキーウで2度、小規模な抗議集会を行った。

 

アントニーナ・ダニレヴィッチさん 「私たちは、私たちの夫がロシアの侵攻が始まったまさにその時、兵役に就いたことを政府に認識してもらうため集まった。動員された人々の兵役期間を明確に定めることを要求する。われわれの声が届くことを願っている。夫たちもだ。彼らは大変な重圧で、疲れ切っている。必要なのはローテーションではなく、ちゃんとした休みであり、復員だ」 夫のオレクサンドルさんは入隊以来、25日ほどしか休暇を取っていない。兵役に終わりが見えない中、対処が難しいとアントニーナさんは感じている。 入隊前は大学講師だったオレクサンドルさん。現在は部隊の小隊長を務めている。息子の結婚式にも出席できず、廃墟と化した東部バフムトからビデオ通話で様子を見ているしかなかったという。14歳の娘も、父親を恋しがっている。

 

「夫や息子が兵役に就いている女性たちで集まって、兵役の長さが決まるまで、あとどのくらいの時間がかかるのだろう、と話し合った。それがはっきりしない。夫たちが戦場にいる間、子供たちは父親なしで育っていく。私たちはただ戦争が終わればいいと思っているのではなく、ウクライナに勝利してほしいと思っている。ただそれは、同じ人たちばかりが担うのではないようにしてほしい。彼らを交代させ、休ませる必要がある。だが他の人々はそう理解してくれない」(アントニーナさん) オレクサンドルさん本人と、所属部隊のコメントは得られなかった。 アントニーナさんら多くの家族は期待していたよりも長く、代償の大きい紛争の見通しに直面している。中には戦争に勝つ保証がないことを認める人もいる。ウクライナが威信をかけてこの夏始めた反攻作戦は、今のところ決定的な突破口を開くには至っていない。ウクライナもロシアも、前線はほとんど動かぬままだ。

アントニーナさんらの運動は、ウクライナ当局が直面する困難を浮き彫りにしている。経済を崩壊させないよう一定の労働力を維持しつつも、人的損失が続く中、自分たちよりはるかに強大な軍隊を打ち負かすため新兵を確保しなければならない。 新兵採用のプロセスは、大部分が人目に触れることなく行われる。徴兵担当者が動員することができるのは、27―60歳までのウクライナ人男性だけだ。徴兵担当者は街中や地下鉄、検問所で男性を呼び止め、動員通知書を手渡し、その男性に徴兵事務所への出頭を指示する。だが昨年以来、担当者が動員したい男性を引きずったり、脅迫したりする様子を捉えた動画が、SNS上に投稿されている。 こちらの男性は匿名を条件に今年9月、ロイターの取材に応じた。男性は長時間屋内に滞在できる仕事をしており、それが徴兵通知書を渡される事態を回避するのに役立っていると話す。外出しなければならないときは、公共交通機関ではなくタクシーを使うという。「公共の場所ならどこでも、徴兵通知書を手渡される可能性がある。バスや公共交通機関、カフェで通知書を受け取ったという話を聞いたことがある。だから私は公共の場には行かない」 国中に暗いムードが漂っていると指摘する社会学者もいる。その根拠として、ウクライナ軍がロシアの進軍を退けた戦争初期の数カ月には急上昇していた政府への信頼が、最近の調査では低下していると指摘する。 アントニーナさんは、家庭から戦争の進行を見守るのはつらいと話す。「女性は確かに強くなった。でもその代償は?」アントニーナさんは言う。「誰もが皆、それぞれ代償を払うのだ」

以上

 この戦争は、東西対立の中で惹起した事態として捉えなければならないと思います。アメリカのロシア封じ込め戦略を背景として、国内反ロシア民族主義派に揺さぶられたゼレンスキーがNATO加盟に動き、ロシアが対抗的にウクライナに侵攻したということが出発点です。

 東西権力者の利害によって多くの労働者とその家族が犠牲を強いられています。

 今、ロシア、ウクライナ両権力者に戦争をやめさせなければなりません。