歴史の曲がり角
09/18 05:00
出来秋を迎えてコメや豆の作柄が注目され、北洋漁業の動向が関心事となった。東京六大学野球では熱戦が繰り広げられ、米ニューヨーク株式市場は株価の乱高下に見舞われていた▼90年前のきょう、1931年(昭和6年)9月18日付の北海タイムス(北海道新聞の前身)が報じた記事だ。ページを繰ると、ブラームスの交響曲のレコード評や歯磨き粉のモダンな広告もある。紙面から浮かぶのは普段と変わりない日常の光景である▼この日、中国東北部の奉天(現瀋陽)郊外で南満州鉄道(満鉄)の線路が爆破された。日本軍の出先機関である関東軍の謀略だったが、中国軍の仕業と偽って相手側を攻撃した。満州事変の発端となった柳条湖事件。その後の日本は次々と戦線を広げる▼上海事変、五・一五事件、国際連盟からの脱退、二・二六事件…。近代史の年表が刻むのはきな臭さを増す内外の情勢だ。満州事変から敗戦まで続く戦争の時代だった▼人々はどう感じていたか。<誰もこんな戦争がこれから十五年間もつづくだろうとは、夢にも思ってはいなかった>(安岡章太郎「僕の昭和史」)。景気が上向く<平和なインターヴァル>が数年あったという▼作家の辺見庸(よう)さんが20世紀の終わりに警告を発している。「年表にゴシック体で記される歴史の曲がり角のただ中にいても真っすぐにしか見えません」。胸に刻むべきことばだろう。
2021・9・18(北海道新聞 コラム「卓上四季」より)
■■■ 江戸川乱暴のコメント
引用した、9月18日の北海道新聞のコラム「卓上四季」は90年前のきょうの出来事を振り返っています。
私たちの目には、今、「歴史=現実」がどのように見えているのか?
あなたや私たちは昨今の歴史がどのように見えているのか確かめ、またこれまでの歴史とその一部を歩んできた自身をよくよく振り返る必要があると思うのですが、いかがでしょうか!!?