[1192]共産党、批判する古参党員を除名

 3月15日、日本共産党京都府委員会は京都の古参党員鈴木元氏の除名を決定しました。鈴木氏は党指導部批判の本『志位和夫委員長への手紙』を出した人です。2月に松竹氏を除名したことについては、連日赤旗紙上で処分の正当性を訴えていましたが、鈴木氏の件は17日の『赤旗』に小さく掲載されています。

 処分の理由は以下の通り。要旨を書きます。松竹氏の除名処分についてはこのブログ[1178]を参照してください。

(1)鈴木氏は1月に出版した本のなかで「『個人独裁』的党運営」」が行われているとする事実無根の攻撃をしていること、党の安保・自衛隊政策を否定し、党綱領の社会主義共産主義論を否定する攻撃を党の外から行っていること。

(2)松竹氏と同じ時期に本を出版し、松竹氏の分派活動の一翼をになったこと。また、本のなかで「党運営において多様な政治グループの存在を認める」よう主張し、党内に派閥をつくることを求めていること。

(3)鈴木氏の一連の発言や行動は、党規約を踏みにじる重大な規律違反であること。党規約第3条4項「党内に派閥・分派はつくらない」、第5条2項「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為は行わない」、第5条3項「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」、これらを踏みにじったこと。

 鈴木氏は立命館大学出身で、京都の古参党員として党内で影響力をもっているとのことです。鈴木氏は安保・自衛隊政策で党指導部に批判的な意見をもっており、歯に衣着せぬ言動をしていたようです。

 「党運営において多様な政治グループの存在を認める」よう主張していたということは、要するに、分派活動を党として認めるべきだと要求したということです。

 共産党指導部は議会主義を徹底し野党共闘のためには政権公約から安保破棄のスローガンを下ろすとまで言ってきました。

 松竹氏も松竹氏の除名に反対した鈴木氏も党の政権公約として安保破棄を下ろした党指導部の影です。共産党の新生を語る鈴木氏の主張は、いいだけ右に寄った党をさらに右に動かすようなものですが、党中央は原則的批判ができないため除名して「解決」を図ったにすぎません。

 共産党は分派活動を認めないというスターリン主義の党内闘争の原則を盾にして批判者を排除しました。

 こんにちの共産党員はこういう水準の党内闘争を議会主義に浸った路線の反省と統一してのりこえていかなければならないのではないでしょうか。心ある党員はマルクスレーニンの原点にかえって頑張ってほしいと思います。