[1382]米「つなぎ予算」ストップ、公務員無給へ

 

 アメリカでは大統領選を前にして、共和党内の主導権争いを含みつつ民主党共和党のつばぜり合いが激化しています。予算執行を共和党強硬派が拒んでいるため軍兵士や法執行機関の職員の賃金が払えなくなります。

 またウクライナへの追加支援にも影響します。

以下産経新聞の引用です。

 

米「政府閉鎖」の恐れ 来月1日以降、共和強硬派が予算拒絶 ウクライナ支援に影響も

産経新聞 

【ワシントン=大内清】米政府の2024会計年度(23年10月~24年9月)予算を巡る下院協議が難航し、一部の機関が10月1日以降、予算を執行できない「政府閉鎖」に追い込まれる公算が大きくなっている。大幅な歳出削減でバイデン政権を追い詰めることを狙う野党・共和党の保守強硬派が、閉鎖回避に向けた当面の「つなぎ予算」に反対しているためだ。

 同派はバイデン政権が求めるウクライナ支援の追加予算承認も拒否。院内をまとめられない共和党マッカーシー下院議長は21日、「理解できない。すべてを焼き払おうというまったく新しい考えを持った人々だ」と述べ、言葉を選びながらも身内である保守強硬派への怒りをあらわにした。 政府予算を巡っては6月、国債のデフォルト(債務不履行)回避に向けたバイデン政権と与野党の交渉の末、24会計年度の支出を23会計年度並みに抑制することなどが決まった。しかし、共和党の保守強硬派はこれに強く反発。歳出の大幅削減やウクライナ支援の停止、同派が左派的とみなす政策廃止などを主張し、予算承認を拒否している。

 共和党は下院の過半数を有するものの、民主党との議席差はわずか。来年の大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領に近い保守強硬派の中核グループは、勢力としては十数人にすぎないが、キャスチングボートを握る。 共和党は今月、「政府閉鎖」を回避し、予算成立までの時間を稼ぐため、1カ月間の「つなぎ予算」案をまとめた。裁量的経費の支出を前年度比で8%削減するなど保守強硬派の要求に配慮した内容だったが、同派はなおも反対。マッカーシー氏の21日の発言は、こうした非妥協的態度に向けられたものだ。

 年度末の今月30日までに何らかの予算措置が成立しない場合、政府機関で緊急性の低い部局は閉鎖される。軍兵士や法執行機関が無給状態になるほか、ウクライナへの武器供与や災害対応、中小企業支援などにも影響する。

 ホワイトハウスは「下院共和党の過激派が米国をカオス(混沌)に導こうとしている」などとし、実質的に少数の保守強硬派に牛耳られた共和党を非難している。 米有力シンクタンクブルッキングス研究所」によると、過去に「政府閉鎖」が複数日にわたったケースは4例ある。

 クリントン政権(民主)時代の1995~96年には、歳出水準を巡り政権・与党と共和党の対立が強まり、2度にわたり計26日間の閉鎖に追い込まれた。オバマ政権(民主)下の2013年には、医療保険制度改革法(オバマケア)の予算を巡る党派対立から政府閉鎖が16日間続いた。また18年末から19年1月には、トランプ政権(共和党)によるメキシコ国境での「壁」建設予算などを巡り、政府閉鎖が35日間続いた。ただしこの際は、歳出の主要部分は先行して承認されたため、閉鎖は部分的なものにとどまった。

(産経新聞)

 アメリカが混沌としています。予算が決められないほどの政党間の対立抗争で荒れています。バイデンはウクライナ戦争に関与を弱める方向で国内の混乱を収めようとしています。要するにアメリカ大統領選に有利かどうかという目でウクライナ戦争を眺めているのだと思います。

 ゼレンスキー大統領は先日、米連邦議会アメリカの支援がなければ戦争に負けるから援助をつづけてほしいという演説をしたそうです。アメリカのロシアへの軍事的封じ込め政策によって戦争の帰趨が決められるというのは、ロシア軍と戦っているウクライナ国民にとっては悲劇的なことだと思います。