[1388]アメリカもウクライナ戦争から引きはじめた

 米下院でウクライナ支援を予算案から削除することで「つなぎ予算」案が可決されました。「米国民よりウクライナを優先するのか」がキーフレーズです。バイデンはウクライナの追加支援の予算を承認するように議会に働きかけていますがどうなるかわからない状況です。

 ウクライナ戦争の長期化は世界中で政治的地殻変動を呼び起こしています。例えばスロバキアの総選挙で、ウクライナ支援を行ってきた「プログレッシブ・スロキア」(PS)が敗北し、ウクライナへの軍事支援とロシアへの経済制裁に反対するスメル(道標)が勝利しました。前回はPSが支持されましたが、対ロ貿易が制されスロバキア経済にダメージが出てきています。インフレが進行し、国民は窮している中での選挙でした。スメルはウクライナNATO加盟にも反対しており、今後のEUNATOに影響を及ぶ可能性があります。

 欧米諸国支配階級のウクライナ戦争への関わり方は分岐点にさしかかっています。

 こんにちの世界は働き暮らす民衆の命が犠牲にされ、資本家階級の利害が守られるという理不尽が当たり前のようにまかり通っています。痛苦ですがウクライナ戦争でそれを確認せざるを得ませんでした。

 アメリカは、正義の戦争の名のもとにゼレンスキー政権の対ロシア戦争を尻押し、武器商人は栄え、自国の政治経済軍事的力を誇示しました。けれども翳リはじめた元「世界の警察」アメリカは引きはじめました。これから中露を念頭に置いたアメリカ的和平のフェイズに移るでしょう。

 多くの犠牲を背後に残して。